生活費危機に直面している英国における社会的弱者のための図書館の取組:延滞料を廃止し、“Warm Bank”として暖かい場所を提供(記事紹介)

英・Guardian紙に、2022年9月28日付で記事“Libraries to offer shelter to the vulnerable during UK’s cost of living crisis”が掲載されました。

記事は生活費危機に直面している英国における対応策として、特にイングランドおよびウェールズの図書館の取組等に焦点を当てています。

同紙がイングランドおよびウェールズの148の図書館に対して調査したところ、回答のあった79館のうち半数は延滞料を廃止しており、延滞料を課している図書館の多くも見直しを検討しているとあります。

また、図書館の支援を行う慈善団体であるLibraries Connectedの調査によるものとして、生活費危機に対する別の支援策として、60%近くの図書館が、社会的弱者に暖かい場所を提供する「ウォームバンク」(Warm Bank)計画への参加を積極的に検討していることが判明したとしています。同じくLibraries Connectedが50人以上の図書館リーダーに対して行った調査によるものとして、61%が利用者が長時間楽しめるようにゲームや工作などの追加アクティビティを提供する、43%が温かい飲み物を提供する、39%が利用者が暖かく過ごせるよう追加の机と快適な椅子を設置することを予定していると回答したと述べられています。

Libraries to offer shelter to the vulnerable during UK’s cost of living crisis(The Guardian, 2022/9/28)
https://www.theguardian.com/books/2022/sep/28/libraries-to-offer-shelter-to-the-vulnerable-during-uks-cost-of-living-crisis

参考:
英・Libraries Connected、図書館における延滞料の廃止に関する調査レポートを公開
Posted 2022年6月21日
https://current.ndl.go.jp/node/46348

英国の大学が過去6年間に図書延滞料で得た総額が5,000万ポンドを超すことが明らかに
Posted 2012年1月10日
https://current.ndl.go.jp/node/19895

図書館資料の「延滞料」の是非をめぐる議論(英国)
Posted 2008年9月1日
https://current.ndl.go.jp/node/8714

E2535 – 英国の公共図書館における延滞料廃止に関する議論
カレントアウェアネス-E No.443 2022.09.15
https://current.ndl.go.jp/e2535