延滞料廃止後の米・ヒューストン公共図書館の利用状況(記事紹介)

2023年4月3日付で、米・ヒューストン大学によるニュースサイト“Houston Public Media”に、延滞料廃止後のヒューストン公共図書館(HPL)の利用状況に関する記事が掲載されました。

HPLが1月11日に延滞料を廃止した後の延滞資料の返却や図書館利用の状況について述べられています。

HPLでは、1月17日から2月18日を免除期間(amnesty period)として設定し、利用者が延滞資料を返却することによってアカウントを清算して図書館の利用を再開できるようにしました。この期間に3,098人が2万1,245点の延滞資料を返却したとあり、合計で42万5,000ドルに相当するとしています。資料を返却した3,098人のうち850人が再び図書館を積極的に利用しており、これらの人にすでに新たに6,500点以上の資料が貸し出されたとあります。

HPLは、延滞料の廃止に関する1月12日付の発表の中で、同館のアカウント所有者の約25%に延滞料を支払う義務が生じており、うち70%は2015年以前に発生したものであることを報告していました。また、延滞料を科された利用者の27%以上が若者であったことから、学習のための無料のリソースやツールへのアクセスが妨げられているとしたヒューストン市長の発言も取り上げていました。

なお、資料の破損や紛失については、引き続き弁償の必要があるとあります。

Since becoming fine-free, over 21,000 items have been returned to Houston Public Libraries, officials say(Houston Public Media, 2023/4/3)
https://www.houstonpublicmedia.org/articles/news/houston/2023/04/03/448055/since-becoming-fine-free-over-21000-items-have-been-returned-to-houston-public-libraries-officials-say/

Houston Public Library is a ‘Fine Free’ System for Cardholders(HPS,2023/1/12)
https://houstonlibrary.org/blog/Fine-Free

参考:
英・Libraries Connected、図書館における延滞料の廃止に関する調査レポートを公開
[2022年06月21日]
https://current.ndl.go.jp/car/46348

E2535 – 英国の公共図書館における延滞料廃止に関する議論
カレントアウェアネス-E No.443 2022.09.15
https://current.ndl.go.jp/e2535

E2516 – 米国における延滞料廃止の動向:ニューヨークの事例を中心に
カレントアウェアネス-E No.439 2022.07.21
https://current.ndl.go.jp/e2516