E808 - 海外在住の日本研究者による画像利用の実態調査

カレントアウェアネス-E

No.131 2008.07.09

 

 E808

海外在住の日本研究者による画像利用の実態調査

 

 日本に関する図書館資料や各種情報へのアクセスの拡大・改善のための活動を行っている北米日本研究資料調整協議会(NCC;CA1462参照)は2007年1月,「日本からの画像入手・使用に関するベスト・プラクティス」ガイドラインを作成すべく,日本・北米の双方の出版社・美術館・図書館等の代表者14名からなる画像資料使用特別委員会を立ち上げた。このほど,同委員会が2008年4月の活動報告において,研究者等による日本の画像使用の実態に関する調査結果を発表した。

 この調査は,研究者がどのように日本の画像を入手し,どのように使用許諾を得ているか,またどのような問題に遭遇しているか,についての現状把握を目的としたもので,日本関係の複数のメーリングリストを通じて2008年1月まで行われた。回答者は120名で,うち101名(約84%)が日本語を母語としない者であった。

 日本の画像の利用頻度については,「定期的に」または「ときどき」利用しているという回答者が全体の80%以上を占めた。利用方法で最も多かったのは教育目的(80%)で,次いで研究の一次情報源(約66%),二次的に例示する素材(約63%)であった。使用許諾の取り方に関する自由記述では,「友人や個人的つながり,第三者機関を通じて権利者と交渉する」「利用しようとしている画像をスキャニングし,日本語・英語双方で書いた利用目的と共に送付する」「日本語を母語とする者を雇い,出版社に電話して口頭で許諾を得る」「商用の画像データベースを利用する」「米国の出版社の編集者に依頼する」といった回答が見られた。

 研究者が直面している課題に関しては,「連絡先・権利者が特定できない」「フェア・ユース(公正使用)の解釈など,米国と日本の法制度の違いがわからない」「日本語で手紙を書けない」「日本の権利者が英語を解さない」「手続きの相違について,日本の権利者や米国の出版社に説明するのが大変」「使用料が高い」「日本の代理人を置くよう要求されたり,組織からの許諾依頼しか受け付けないとされたりする」といった回答が共通して見られたという。とりわけ、許諾プロセスが複雑であること,双方の法制度や文化・社会の相違に関する理解不足,言語・コミュニケーションの問題が大きく浮かび上がった。

 NCCでは今後、日本の財団等からの助成をもとに,日本・北米双方の利害関係者による協議を開催し,双方の法制度や出版文化に対する相互理解を促進しつつ,ガイドラインの策定を目指すとしている。

Ref:
http://www.fas.harvard.edu/~ncc/imageuse/IUP_Open_Meeting-PP-FInal.pdf
http://www.fas.harvard.edu/~ncc/minutes08march/IUPReport.html
http://www.fas.harvard.edu/~ncc/imageuse/GoalsImageUseJapanese.pdf
CA1462