E532 – e-ラーニングの積極的導入−シンガポールの事例から<文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.89 2006.08.23

 

 E532

e-ラーニングの積極的導入−シンガポールの事例から<文献紹介>

 

Chaudhary, Abdus Sattar. Role of Libraries in Promoting E-Learning: A Review of Singapore Initiatives. Pakistan Journal of Library and Information Science. (7), 2006, 57-67. (online), available from < http://eprints.rclis.org/archive/00006809/ >, (accessed 2006-08-19).  

 シンガポールでは政府が中心になってe-ラーニングの推進に努めているが,その前提として,シンガポールの情報コミュニケーション開発庁(Infocomm Development Agency:IDA)が2000年に発表した「情報コミュニケーション・マスタープラン」が挙げられる。ここでは情報コミュニケーション能力の向上に向けて3つの大きな戦略を掲げており,その内のひとつに「シンガポールをアジア・太平洋地域におけるe-ラーニング(CA1588参照)の拠点とする」ことが記されている。また,労働省も,経済発展に乗り遅れないためには生涯学習が重要との認識から,より柔軟に学習時間を確保できるe-ラーニングの導入に積極的な姿勢を示している。

 こうした動きは図書館界においても例外ではなく,1995年に図書館振興の先導的役割を担うべく設立されたシンガポール国立図書館委員会(NLB)も,1998年頃からe-ラーニングの実験や研究を進め,1999年には主に省庁の職員を対象としたオンライン研修システムとしてのi.Learnプロジェクトも立ち上げている。この論文では,シンガポール政府,特にNLBのe-ラーニング導入に向けた実験・研究の動きを紹介し,NLBが図書館・情報分野におけるe-ラーニングの発展に重要な役割を果たしていることを示した上で,e-ラーニングに対する社会の認識を更に深める取り組みが必要であろうとまとめている。

Ref:
http://www.ida.gov.sg/idaweb/aboutida/infopage.jsp?infopagecategory=factsheet:aboutida&versionid=1&infopageid=I860 CA1588