カレントアウェアネス-E
No.519 2026.02.26
E2867
国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)のウェブサービスリニューアル
国立国会図書館関西館電子図書館課・志村努(しむらつとむ)
国立国会図書館(NDL)は、2025年12月25日にインターネット資料収集保存事業(WARP)のウェブサービスをリニューアルした。WARPは、主に公的機関のウェブサイトを収集・保存し、提供する事業である。今回のリニューアルでは、増大するデータを継続的に保存していくことを目的としたシステム構成へと変更し、また、蓄積された過去のインターネット資料へのアクセス性及び検索性を高めることを目的とした機能改善を図った。本稿では、強化した具体的な機能と、その背景について述べる。
●検索機能の改善
従来のWARPでは、トップ画面に設けた「簡易検索」窓と「詳細検索」画面の二通りの検索画面を提供していた。リニューアル後は検索画面を一元化し、必要に応じて後から絞り込み条件を設定する構成へと変更した。絞り込み条件の項目は利用頻度の多いものに限定し、項目名称は利用者が理解しやすいものとした。リニューアル前に実施した利用者動向の調査からは、有効でない検索が試されて検索結果が0件になるなど、「詳細検索」に設けていた各検索項目の意味が誤解されていたと推察されるケースがあることが判明していたが、今回の変更は、そうした状況を踏まえて行ったものである。
検索結果の表示も「収集サイト単位」と「ページ単位(本文検索)」という二画面構成から、ページ単位の表示に統一した。分岐がなく一貫した動線としたことで、利用者が目的の情報にスムーズに到達することが可能となった。
また、検索におけるレスポンスの向上についても対応を行った。本文検索対象となるコンテンツはウェブサイトを収集するたび増加していくため、従来のシステムでは収集量の増加とともに検索レスポンスが悪化するようになっていた。そこで、検索対象の初期設定を直近5年間に収集したコンテンツに限定することで処理を軽くし、レスポンスの改善を図った。
●PDF等のファイルから掲載ページへの遷移
WARPでは、PDF等の文書類のテキストも本文検索の対象としている。しかし、本文検索から直接PDF等の文書ファイルに到達した場合、それが「元々どのページに、どのような情報とともに掲載されていたのか」といった出所や文脈がわからない点が課題となっていた。
今回のリニューアルでは、PDFをはじめとする各ファイルに対し、そのファイルのリンク元ページ(複数のページからリンクされている場合は、そのうち最も主要なものと推定されるページ)のURLを関連情報として持たせることにした。そして、コンテンツとともに表示する画面上部のバナーに新たに設置した「リンク元へ移動」ボタンを押すことで、リンク元のページへ遷移できるようにした。これにより、そのファイルの出所や文脈を把握しやすくなり、利便性の向上に資すると考えている。
●保存日時を含むURLへの変更
保存コンテンツのURL構造を見直し、世界の多くのウェブアーカイブで採用されている体系、すなわち、URLの中に保存日時(年月日時分秒)を含む構造に移行した(例:warp.ndl.go.jp/web/20250102112233/…)。この変更により、利用者はURLを見るだけで「いつ時点の情報か」を判別できるようになった。また、URL内の日時を書き換えることで、検索画面を介さずとも前後の保存日へ直接アクセスすることを可能としたほか、「warp.ndl.go.jp/web/latest/…」と日時の部分を「latest」と指定することで最新の保存日のページを表示するようにした。
なお、旧来のURL体系からのリダイレクト(自動転送)処理を永続的に維持するため、過去に作成されたリンクやブックマークからでも引き続き該当コンテンツへアクセスできるようにしている。
●メタデータ付与機能の追加
WARPでは、機関等のウェブサイト全体に対して一つのメタデータを付与しているが、今回これに加えて、収集したウェブサイト内の特定のページに対しても個別にメタデータを付与できる仕組みを導入した。その目的は、収集したウェブサイト内に含まれる図書や雑誌に相当する刊行物の発見性を高めることにある。
例えば、自治体のウェブサイトに含まれる広報誌や年報・紀要等は、これまでは「本文検索」でしか探すことができず、発見しづらい場合があった。これらに対して個別にメタデータを付与することで、WARPの各自治体の詳細画面(保存日一覧やメタデータを表示する画面)にそのタイトルを一覧表示できるほか、国立国会図書館サーチを通じて、紙媒体と合わせて一体的に検索することが可能になる。刊行物等に対するメタデータの登録作業は、2026年2月時点では一部にとどまっているが、逐次刊行物を対象に順次行っている。
●おわりに
今回のリニューアルでは、ウェブサイトを定期的に収集・保存し、当時の状態で提供するという事業の根幹は維持しつつ、情報へのアクセス性と検索性の強化により、WARPは一段階使いやすいウェブアーカイブへと進化したと考えている。NDLは今後もインターネット上に公開された豊かな知的資源を未来へつなぐため、サービスの向上に努めていく。
Ref:
“「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)」ウェブサービスのリニューアル”. WARP.
https://warp.ndl.go.jp/info/news/2025renewal
国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP).
https://warp.ndl.go.jp/
国立国会図書館サーチ.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/
