カレントアウェアネス-E
No.520 2026.03.12
E2873
第50回ISSNセンター長会議<報告>
国立国会図書館収集書誌部逐次刊行物・特別資料課・奥田倫子(おくだともこ)
2025年10月6日から10日まで、第50回国際標準逐次刊行物番号(ISSN)センター長会議(以下「センター長会議」;E2778ほか参照)が、フランス国立図書館(BnF)を会場としてパリで開催された。会議には、ベケ(Gaëlle Béquet)ISSN国際センター長、ISSN各国センター長のほか、会期中に開催されたISSN創設50周年記念イベント「文化的・学術的出版物の識別と保存に関する国際対話のための会議」の登壇者等、47か国95名が参加した。国立国会図書館(NDL)からは、筆者が参加した。
会議の1日目は、BnFのジャスリエ(Emmanuel Jaslier)メタデータ部長による開会挨拶で幕が開いた。その後、ベケ氏の進行により、議題の採択、前回会議の議事録承認、ISSN国際センター(以下「国際センター」)からの活動報告と進んだ。国際センターは、2024年6月の総会で2025年から2029年までを対象期間とする戦略計画を採択しており、新戦略の下で、参加国100か国(現在は96か国)を目指す。また、電子ジャーナル保存機関との関係を強化し、電子ジャーナル等のアーカイブ状況を集約・公開するKeepers Registry事業を推進する。
2日目午前には、アルメニア、フランス、モルドバ等9か国のセンターの活動報告が行われた。フランスからは、ボーンデジタル逐次刊行物の法定納本が2028年に開始されるのに伴い、オンライン資料に対するISSN付与のための業務フローが変更されること、デジタル化した古新聞・雑誌の識別と共有のために1830年以前に刊行開始した新聞・雑誌への遡及付与を進めていることが報告された。
2日目午後には、2025年5月に改訂版が公開された「ISSNマニュアル」についてのワークショップが開催された。マニュアルとしては10年ぶりの改訂であり、ISSNについて定めた国際規格ISO 3297の近年の更新が反映されている。改訂作業は数年来行われており、各改訂点については過去の記事(E2470、E2587、E2688)で紹介している。ここでは、マニュアルの主たる改訂点を一覧する。
●ISSNの基本と方針(第2章、第5章)
- 付与対象となり得る継続資料の範囲の明確化
- 紛争地域の刊行物、開催地・出版者が変わる会議体の刊行物の管轄、付与ルールの整理
- 冊子体のデジタル化版へのISSN付与ルールの整理
- 出版者間の係争、詐欺的行為への対応方針の明記
●タイトル及び識別の要素(第4章、第6~11章)
- 付与基準の詳細化
- 継続資料種別コードの増設(008/21 MARC21)
- タイトル変更の判断基準の詳細化
- クラスターISSNの適用
●出版、アクセスに関する情報(第12、18~19、26~28章)
- 発行機関については識別子を入力する
- 電子的アクセス(856 MARC21)の記載ルールを詳細化
- 電子的アーカイブを独立して記録(857 MARC21)
なお、ISO 3297の改訂でISSN付与対象が多様な更新型のコンテンツに拡張されたことを受け、継続資料種別コード(MARC21/008 21桁目)が増設された点は特に詳しく説明された。従来の「p(定期刊行物)」、「n(新聞)」「m(モノグラフシリーズ)」に加え、ブログやリポジトリ、ウェブサイト等のコード値(それぞれ「b」「r」「w」)が新設された。
3日目には、国際センターから、2026年早期の公開を目指して開発中の新ISSN Portalのデモが行われた。ISSNデータの検索・利用のためのウェブサービスであるISSN Portalでは、クラスターISSNを用いたジャーナル間の関係のビジュアル的表示や関連誌へのリンクが充実した。また、フランスセンターからは、BnFの新しい目録作成システムで採用したIFLA図書館参照モデル(IFLA LRM)に基づく逐次刊行物のデータモデルについても紹介された。
4日目には、ISSN創設50周年を記念して、ユネスコ、フランス政府、オープンアクセスリポジトリ関係者等を講演者に迎えた会議が開催された。BnF総務部副部長兼サービス・ネットワーク部長のニフェネガー(Isabelle Nyffenegger)氏による開会挨拶の後、ISSNの歴史・理念、学術情報流通、オープンアクセス誌の品質基準、電子ジャーナルの保存をテーマとした4セッションが開催された。会議の全容はBnFのYouTube公式チャンネルで公開されている。
5日目には、決議が行われた。言語別、地域別、テーマ別のフォーラムを設置すること、ISSNマニュアルの翻訳版の作成、AIが生成した継続資料のISSN登録可否についてのワークショップの設置等について合意された。
次回の第51回センター長会議は、2026年10月に、メキシコのメキシコシティで開催予定である。
Ref:
“ISSN日本センター”. NDL.
https://www.ndl.go.jp/data/issn
ISSN International Centre.
https://www.issn.org/
“For an international dialogue on the identification and preservation of cultural and scholarly publications: the ISSN celebrates its 50th anniversary”. ISSN International Centre.
https://50years.issn.org/conference
ISSN International Centre Action Plan 2025-2029. ISSN International Centre, 2025.
https://www.issn.org/wp-content/uploads/2025/01/PLAN-2025-%E2%80%93-2029-ISSN-INTERNATIONAL-CENTRE_compressed-1.pdf
ISSN Manual. December 2024 ed., ISSN International Centre, 2026, 227p.
https://xwiki.issn.org/wiki/manual/download/ManualDocumentation/PDFexport/marc/WebHome/manual-en-marc.pdf
“008 – Continuing Resources (NR)”. MARC 21 Format for Bibliographic Data.
https://www.loc.gov/marc/bibliographic/concise/bd008s.html
Keepers Registry.
https://keepers.issn.org/
“ISO 3297:2022. Information and documentation – International standard serial number (ISSN)”. ISO.
https://www.iso.org/standard/84536.html
Bibliothèque nationale de France BnF. “L’ISSN fête ses 50 ans / ISSN celebrates its 50th Anniversary”. YouTube. 2025-10-09.
https://www.youtube.com/live/FJ1PpYYz5Q4
“Suivre les évolutions des données”. BnF.
https://www.bnf.fr/fr/suivre-les-evolutions-des-donnees
山口美季. 第49回ISSNセンター長会議<報告>. カレントアウェアネス-E. 2025, (498), E2778.
https://current.ndl.go.jp/e2778
幡谷祐子,柳澤健太郎. 第46回ISSNセンター長会議<報告>. カレントアウェアネス-E. 2022, (429), E2470.
https://current.ndl.go.jp/e2470
幡谷祐子,柳澤健太郎. 第47回ISSNセンター長会議<報告>. カレントアウェアネス-E. 2023, (454), E2587.
https://current.ndl.go.jp/e2587
水戸部由美,柳澤健太郎. 第48回ISSNセンター長会議<報告>. カレントアウェアネス-E. 2024, (477), E2688.
https://current.ndl.go.jp/e2688
