E2688 – 第48回ISSNセンター長会議<報告>

カレントアウェアネス-E

No.477 2024.04.11

 

 E2688

第48回ISSNセンター長会議<報告>

収集書誌部逐次刊行物・特別資料課・水戸部由美(みとべゆみ)、柳澤健太郎(やなぎさわけんたろう)

 

  2023年10月23日から26日まで、第48回国際標準逐次刊行物番号(ISSN)センター長会議(以下「センター長会議」;E2587参照)が、ベルギー・ブリュッセル及びオンラインのハイブリッド形式で開催された。会議会場では、ベケ(Gaëlle Béquet)ISSN国際センター長、ISSN各国センター長、ISSN国際センタースタッフ等、60人程度が参加した。国立国会図書館(NDL)からは、水戸部が会場で、柳澤が議事の一部にオンラインで参加した。

  会議の1日目は、ベルギーの関係者による開会挨拶や議題の採択等で幕が開いた。前回会議の議事録承認、ISSN国際センター(以下「国際センター」)からの2022年活動報告に加え、ベルギー、チュニジア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ネパール及びウクライナの各国センターによる活動報告が行われた。ウクライナからの報告では、ロシアの攻撃により全国で400以上の図書館が破壊されたことが破壊前と破壊後の写真を示しながら伝えられ、支援への感謝が表明された。

  2日目には、国際センターから、2024年までの戦略の進捗、国際センターが提供する目録作成システムであるISSN+の更新情報及び国際センターのデータ提供用システムであるISSN Portalのオーバーホール計画、広報活動について報告が行われた。そのほかにも、ISSN+に関する実習ワークショップ等が行われた。

  3日目には、ISSNについて定めた国際規格ISO 3297:2022を補完するISSNマニュアル改訂のためのISSNレビューグループの会議(センター長会議参加者であればグループ構成員以外も傍聴可)等が行われた。なお、第46回センター長会議において、ISSNマニュアル改訂の完了は2023年前半に延期される見込みであると周知されていたが(E2470参照)、今回の会議では、同マニュアル改訂の完了時期に関する周知はなかった。同マニュアル改訂は本稿執筆時点で未了である。

  4日目には、前回センター長会議決議の概要とその後の進捗の紹介後に、ISSNマニュアル改訂の進め方、ISSNネットワーク内の連携強化といった事項に関する今回の会議の決議案が提案され、承認された。

  なお、2日目の実習ワークショップの全体と3日目に行われたワークショップの一部を除き、ほぼ全ての議事に、オンライン参加の選択肢が用意されていた。

  国際センターの活動報告及び戦略の進捗報告で取り上げられたMARC21の改訂は、ISSN Portalの利便性にも影響するため、特に詳しくお伝えしたい(ISSN Portalでは、書誌データをMARC21形式で保持している)。ここでは、MARC21に新設された、二つのフィールドの機能を紹介する。

  第一は、857フィールドである。従来からオンラインジャーナルのURIを記録するため用いられてきたのが、MARC21の856フィールドである。しかし、オンラインジャーナルにおいては、掲載先のURIの変更や消滅といった事情で、従来のURIがリンク切れになることがある。こうした問題に対処するため、アーカイブされた刊行物のURIを記録する857フィールドが、今回MARC21に新設された。将来はISSN Portalでも、857フィールドの運用が開始されることが見込まれる。そうなった暁には、リンク切れになってしまったオンラインジャーナルでも、それが別サイト内でアーカイブされている場合、ISSN Portalのデータ内でアーカイブの方のURIが857フィールドに記録されていれば、リンク切れとなったジャーナルの内容を参照できるようになる。

  第二は、023フィールドである。ISO 3297:2022には、互いに関連する複数のISSN登録資源をまとめて識別するための識別子である、クラスターISSNの規定がある。具体的には、既存のISSN-L(Linking ISSN)や、新設のISSN-H(History ISSN;E2470参照)がクラスターISSNにあたる。また将来、他のクラスターISSNを追加することも可能である。こうしたクラスターISSNを記録するためにMARC21に新設されたのが、023フィールドである。この新設により、将来はISSN Portalでも、多様なクラスターISSNが023フィールドに格納・表示されていくことが見込まれる。

  次回の第49回センター長会議は、2024年10月に、チュニジアのチュニスで開催予定である。また、次々回の第50回センター長会議は、2025年に、フランスのパリで開催予定である。

Ref:
“ISSN日本センター”. NDL.
https://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html
ISSN International Centre.
https://www.issn.org/
“The 48th ISSN Centres Directors’ Meeting is taking place in Brussels, Belgium (23-26 October 2023) ”. ISSN International Centre. 2023-10-19.
https://www.issn.org/the-48th-issn-centres-directors-meeting-is-taking-place-in-brussels-belgium-23-26-october-2023/
ISSN International Centre 2020-2024 Strategy. ISSN International Centre. 2020, 9p.
https://www.issn.org/wp-content/uploads/2020/07/Strategy-ENG.pdf
“023 – Cluster ISSN (R) ”. Library of Congress.
https://www.loc.gov/marc/bibliographic/bd023.html
“857 – Electronic Archive Location and Access (R) ”. Library of Congress.
https://www.loc.gov/marc/bibliographic/bd857.html
ISO 3297:2022. Information and documentation – International standard serial number (ISSN).
https://www.iso.org/standard/84536.html
幡谷祐子,柳澤健太郎. 第47回ISSNセンター長会議<報告>. カレントアウェアネス-E. 2023, (454), E2587.
https://current.ndl.go.jp/e2587
幡谷祐子,柳澤健太郎. 第46回ISSNセンター長会議<報告>. カレントアウェアネス-E. 2022, (429), E2470.
https://current.ndl.go.jp/e2470