カレントアウェアネス-E
No.384 2020.01.30
E2220
東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2020/1/20現在)
関西館図書館協力課調査情報係
東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E2174ほか参照)に続き,2019年9月中旬から2020年1月中旬までの主な情報を紹介する。
●被災地の図書館等の活動
9月22日,陸前高田市(岩手県)に東日本大震災津波伝承館(愛称:いわてTSUNAMIメモリアル)がオープンした。
https://iwate-tsunami-memorial.jp/245/
11月23日,富岡町(福島県)で,東日本大震災及び原発事故の被害や教訓を後世に伝えるアーカイブ施設の起工式が行われた。
https://www.facebook.com/tomippy/posts/135534704528232
●デジタルアーカイブに関する動き
10月22日,日本災害復興学会(兵庫県西宮市)が,内閣府が公表している「東日本大震災に関連した各府省の規制緩和等の状況」の全通知本文と,災害救助法関係の通知文を掲載した「大災害時の通知類のアーカイブ」ページを作成した。
http://f-gakkai.net/modules/news/article.php?storyid=131
http://f-gakkai.net/modules/tinyd9/index.php?id=49
国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に,以下のコンテンツが追加された。
- 石巻市復興を考える市民の会(宮城県)が作成した『石巻市復興を考える市民の会 アーカイブ 8年間の「ボランティア」活動記録』(11月5日)
- 一般財団法人消防防災科学センター(東京都三鷹市)が運営する「災害写真データベース」に収録されている地震災害の写真(1月10日)
https://kn.ndl.go.jp/static/2019/11/05
https://kn.ndl.go.jp/static/2020/01/10
●展示
宮城県図書館の「東日本大震災文庫」で,8月10日から10月10日まで「震災と学校」,10月11日から12月15日まで「震災とアート」と題した展示が行われた。
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11373738/www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/1405-shinsaibunko-201908.html
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11377370/www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/1437-shinsaibunko-201910.html
8月27日から9月29日まで,栃木市都賀図書館(栃木県)で,企画展示として福島県立図書館の「東日本大震災復興ライブラリー」の資料が展示された。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukkolib/pdf/tochigishituga.html
9月6日から10月10日まで,立命館大学OICライブラリー(大阪府茨木市)で,同大学大学院人間科学研究科(2017年度までは応用人間科学研究科)による東日本大震災復興支援プロジェクトの8年間の活動の記録を展示する「東日本・家族応援プロジェクトの軌跡:2011~2018」が行われた。
http://www.ritsumei.ac.jp/library/guide/tenjievent/article.html/?events_id=66
9月11日,福島大学附属図書館に,震災・復興展示コーナー「東日本大震災 福島大学の記憶」が開設された。
https://www.fukushima-u.ac.jp/news/2019/09/007306.html
9月19日から10月8日まで,多賀城市立図書館(宮城県)で,立命館大学大学院人間科学研究科の震災復興支援プロジェクト「東日本・家族応援プロジェクトin多賀城2019」の一環として,立命館大学教授で家族療法家・漫画家の団士郎氏の作品を展示する「団士郎家族漫画展」が開催された。10月5日には,民話・絵本等のワークショップや,団氏によるトークが行われた。
http://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=432864
9月24日から10月31日まで,育英大学・育英短期大学図書館(群馬県高崎市)で,企画展「新聞で振り返る 東日本大震災~大規模災害から防災を学ぶ~」が行われた。
http://www.ikuei-g.ac.jp/college/news/2019/002465.html
10月16日から11月15日まで,岩手大学図書館で,岩手大学ミュージアム特別企画展「岩手大学震災復興活動展2019-Build Back Better-」が行われた。
https://www.iwate-u.ac.jp/70th-anniversary.html
10月19日から11月1日まで,愛媛県立医療技術大学の講義室及び図書館で,「東日本大震災被災地活動子どもたちへ<あしたの本>プロジェクト 絵本・児童文学作家らによる応援メッセージ・直筆画展」が行われた。
http://www.epu.ac.jp/library/topics/post-110.html
●イベント,講演会,講習会,研究会など
9月28日,成城大学(東京都世田谷区)で,研究会「被災と復興の記憶-アーカイブする、継承する」が開催された。
http://www.seijo.ac.jp/events/jtmo42000000rapa.html
せんだいメディアテーク(仙台市)で,相馬高校(福島県)放送局の震災後制作作品上映を主たる目的とした任意団体「相馬クロニクル」及び3がつ11にちをわすれないためにセンターが主催する「相馬クロニクルダイアログ」の第5回が,9月29日に「フィクションで伝える(震災)」をテーマとして,また12月8日には第6回が「変わりゆく福島」をテーマとして開催され,震災に関する作品が上映された。
https://recorder311.smt.jp/information/58736/
https://recorder311.smt.jp/information/58837/
10月13日及び10月14日,岩手県立図書館の映画会で,震災による被害のあった鉄道の復旧の様子を収録した『三陸鉄道復興の記録 vol.1』が上映された。
http://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/eigakai/201910.html
10月19日,名古屋市で開催された防災推進国民大会2019で,東北大学災害科学国際研究所(仙台市)が主催するセッション「東日本大震災のアーカイブと教訓の活用・発信」が行われた。
http://bosai-kokutai.jp/detail/SS-13
11月9日,名取市図書館(宮城県)で,被災地に絵本を届ける活動を行う「3.11絵本プロジェクトいわて」の主催による「出張絵本サロン」が開催され,おはなし会等が行われた。
https://lib.city.natori.miyagi.jp/web/event/1430
http://iwate.ehonproject.org/?eid=400
11月13日,横浜市で開催された第21回図書館総合展で,防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が主催するフォーラム「≪東日本大震災10年プレイベント≫災害と図書館2019「災害アーカイブの発展と継承~東日本大震災を例に」」が行われた。
https://www.libraryfair.jp/forum/2019/8423
11月13日から11月16日まで,大槌町文化交流センター(おしゃっち;岩手県)で,震災前の同町町方地区を再現した模型のリニューアルのためのワークショップが行われた。
https://www.town.otsuchi.iwate.jp/gyosei/docs/433433.html
12月8日,Jヴィレッジホール(福島県楢葉町)で,福島県が主催する「ふくしまを伝える アーカイブフォーラム2019」が,2020年度に同県双葉町で「東日本大震災・原子力災害伝承館」が開所予定であることを踏まえ,福島の経験と現状を伝えることについて議論することを目的に開催された。
https://twitter.com/Fukushima_Pref/status/1196278144816148482
12月8日,日本図書館協会(東京都千代田区)で,としょかん文庫・友の会が主催する,図書館きのう・今日・あす2019講演会「「福島の図書館員」東日本大震災からの9年」が開催された。
https://toshokanbunkotomonokai.jimdofree.com/
1月11日,東北大学災害科学国際研究所で,同研究所及び国立国会図書館が「令和元年度東日本大震災アーカイブ国際シンポジウム-震災伝承施設と震災アーカイブ-」を共催した。
http://www.shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/symposium/20200111/
●刊行物
『学術の動向』24巻9号(2019年9月)が,特集「震災の記憶と記録」として,震災アーカイブ等に関する記事を掲載した。
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029982475-00
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029982486-00
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029982492-00
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029982502-00
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029982510-00
『福島大学地域創造』31巻1号(2019年9月)が,深谷直弘氏の記事「福島県における東日本大震災の記憶を残す活動とアーカイブ拠点施設の構築――原子力災害(原発事故)を伝える資料の特徴と課題」を掲載した。
http://www.cera.fukushima-u.ac.jp/welcome/example_download/593
『社会と調査』第23号(2019年9月)が,Flavia Fulco氏らの論文「リアルタイムでのデジタル・ヒューマニティーズと災害の記録:東日本大震災と津波のオーラルナラティブ・アーカイブ」を掲載した。
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I030050361-00
『日欧比較文化研究』第23号(2019年10月)が,新藤透氏の論文「宮城県南三陸町図書館の歴史と東日本大震災後の現状」を掲載した。
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I030061717-00
『WASEDA RILAS JOURNAL』第7号(2019年10月)が,「特集2「知の蓄積と活用にむけた方法論的研究」部門 第12回研究会記録」として,野坂真氏の報告「東日本大震災後の岩手県津波被災地域におけるアーカイブ活動の経緯と課題:大槌町安渡地域アーカイブプロジェクトを中心事例として」及びディスカッションの記録を掲載した。
https://www.waseda.jp/flas/rilas/news/2019/10/08/6605/
https://www.waseda.jp/flas/rilas/assets/uploads/2019/10/415-436_special-feature2.pdf
2019年10月に日本図書館協会が刊行した『水濡れから図書館資料を救おう!』に,震災により被害のあった陸前高田市立図書館郷土資料の救出の様子が掲載された。
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030003939-00
『カレントアウェアネス-E』第382号(2019年12月19日)が,阿部美子氏による記事「石巻市図書館の移動図書館車「ひより号」の運行終了について」を掲載した。
E2209
●被災地を支援する動き
日本図書館協会図書館災害対策委員会は,9月11日から10月11日まで東日本大震災を含む災害等により被災した図書館等への復旧・復興助成対象の募集を行い,助成先を決定した。
http://www.jla.or.jp/committees/tabid/600/Default.aspx
http://www.jla.or.jp/committees//tabid/819/Default.aspx
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=5068