E1961 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2017/10/10現在)

カレントアウェアネス-E

No.335 2017.10.19

 

 E1961

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2017/10/10現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1929ほか参照)に続き,2017年7月上旬から2017年10月上旬までの主な情報を紹介する。

●被災地の図書館等の活動

 7月15日,震災による被害で休館していた岩手県の山田町立鯨と海の科学館が再開した。
http://yamada-kankou.sblo.jp/article/180358067.html

 7月20日,震災後仮設図書館で業務を行っていた,岩手県の陸前高田市立図書館の新図書館が開館した。
https://www.facebook.com/RikuzentakataCityLib/posts/1279947022131023
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/tosyokan/
E1956

●デジタルアーカイブに関する動き

 8月8日,岩手県大槌町が「大槌町震災アーカイブ~つむぎ~」を公開した。
https://archive.town.otsuchi.iwate.jp/docs/1134.html
https://archive.town.otsuchi.iwate.jp/

 8月10日,防災科学技術研究所総合防災情報センター自然災害情報室が,全国の災害資料アーカイブ実施機関の情報を集めたウェブサイトを開設した。
http://dil.bosai.go.jp/link/archive/

 8月28日,福島大学附属図書館が「震災関連アーカイブ」を公開した。
http://www.lib.fukushima-u.ac.jp/oshirase/2017_8system.htm
https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/repo/repository/shinsai/

●展示

 7月1日から8月31日まで,宮城県図書館の「東日本大震災文庫」で,展示「語る 伝える 聞く」が行われた。
http://www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/969-shinsaibunko-2907.html

 7月22日から7月30日まで,茨城県立図書館で,茨城県生活環境部防災・危機管理局防災・危機管理課が県内外で行っている巡回展示の一環であり同館が共催・後援する,「東日本大震災記録資料展示会」が開催された。
https://www.lib.pref.ibaraki.jp/information/exhibition/2017/files/290722.pdf
http://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/bousaikiki/kiki/tenjikai.html

 9月1日から10月9日まで,宮城県図書館の「東日本大震災文庫」で,展示「震災と音楽」が行われた。
http://www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/1010-shinsaibunko-201709.html

●イベント,講演会,講習会,研究会など

 7月13日から9月30日まで,三重県立図書館により,観光による東北地方及び熊本県・大分県の復興貢献を目的として,同県内の市町立図書館や大学図書館等が参加する「知る、行く、つながる。東北と熊本・大分」キャンペーンが開催された。
http://www.library.pref.mie.lg.jp/index.php?key=job41h1zr-106#_106

 8月3日,宮城県の多賀城市立図書館で,くまのがっこう東北こども応援プロジェクト実行委員会により,ミニコンサートや読み聞かせ等を行う「くまのがっこうスペシャルステージ」が開催された。
https://tagajo.city-library.jp/library/ja/event_page/751
http://bears-school.com/blog/archives/11838

 8月6日,仙台市のせんだいメディアテークで,てつがくカフェ@せんだい及びせんだいメディアテークにより,「てつがくカフェ第62回『放射能と暮らし』」が開催された。
http://table.smt.jp/?p=13639

 8月11日,福島県立図書館で,ignition galleryが主催するイベント「多和田葉子×和合亮一×開沼博『ベルリン、福島~あの日から言葉の灯りをさがして~』」が開催された。
http://ignitiongallery.tumblr.com/post/162810215417/多和田葉子-和合亮一-開沼博ベルリン福島あの日から言葉の灯りをさがして
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/event/20170811berurin-hukushima.pdf

 8月25日,熊本大学附属図書館で,第9回DAN(Digital Archive Network)ワークショップが開催された。東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛氏による基調講演「東日本大震災アーカイブの利活用の現状とその問題点」のほか,岩手県復興局復興推進課の酒井淳氏から「岩手県による震災アーカイブの取組~『いわて震災津波アーカイブ~希望~』開設までの経緯~」,国立国会図書館の伊東敦子から「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ『ひなぎく』の近況」等の話題提供が行われた。
http://www.mi3.or.jp/news/post-4.html

 9月1日,岩手県立図書館が,定期的に開催している館内見学ツアーを,防災の日に合わせて「語り継ぐあの日の図書館と『震災関連資料コーナー』」として特別開催した。
https://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/sanpo/201709.html

 9月2日,福島県のいわき市文化センターで,人間文化研究機構広領域型基幹研究プロジェクト国文学研究資料館ユニット「人命環境アーカイブズの過去・現在・未来に関する双方向的研究」によるシンポジウム「地域歴史資料救出の先へ」が開催された。筑波大学の白井哲哉氏による報告「被災の記憶と資料を未来へ伝える試み―双葉町と筑波大学の震災資料保全活動―」等が行われた。
http://www.nijl.ac.jp/pages/event/symposium/images/iwaki.pdf
http://ibarakishiryou.web.fc2.com/info_sub.html

 9月24日,岩手県民会館で,国立国会図書館国際子ども図書館,岩手県教育委員会及び岩手県立図書館が主催するシンポジウム「子どもの本の視点から震災を振り返る」が開催された。
https://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/event/20170924_shinsai.html
http://www.kodomo.go.jp/event/event/event2017-11.html

 10月1日,岩手県の平泉町役場で,平泉町立図書館による平成29年度「文に親しむ講座」として,俳人の照井翠氏による講演「震災と読書~本が人を支える~」が開催された。
http://www.town.hiraizumi.iwate.jp/index.cfm/26,1041,c,html/1041/20170825-133241.pdf

 10月5日,福島県いわき市のいわき芸術文化交流館(アリオス)で,はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会が主催するシンポジウム「厄災の記憶 その表象可能性」が開催され,震災から6年を経過した福島と文化財をめぐる議論が行われた。
http://hamanakaaizu.jp/news/震災・大事故と文化財を考えるプロジェクト%E3%80%80シ.html
http://hamanakaaizu.jp/wp-content/uploads/a3bfbc4fa467dd62a2256835821e54d6.pdf

●刊行物

 『デジタルアーカイブ学会誌』1巻創刊準備号(2017年)が,柴山明寛氏ほかの記事「近年の震災アーカイブの変遷と今後の自然災害アーカイブのあり方について」を掲載した。
https://doi.org/10.24506/jsda.1.Pre_13

●被災地を支援する動き

 7月末,公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が,被災地支援活動「いわて/みやぎ/ふくしまを走る移動図書館プロジェクト」を終了した。活動は,地元の図書館やお話し会グループなどに引き継がれた。
http://sva.or.jp/wp/?news=23773
http://sva.or.jp/tohoku/
E1957

 8月22日,日本図書館協会東日本大震災対策委員会及び福島県立図書館が,東京電力福島第一原発事故の影響により休館中で2018年4月に開館を予定している福島県の富岡町図書館を訪問し,現状や再開に向けての課題について意見交換を行った。
http://www.jla.or.jp//tabid/262/Default.aspx?itemid=3498

 9月6日,一般社団法人日本レコード協会が,社会福祉法人全国社会福祉協議会及び日本図書館協会の協力のもと,2017年度「レコード寄贈事業」を実施し,復興支援の一環として東日本大震災被災地の図書館に対しては96館に音楽CDを寄贈したことを発表した。
http://www.riaj.or.jp/news/id=221

関西館図書館協力課調査情報係