E1991 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2018/1/31現在)

カレントアウェアネス-E

No.341 2018.02.08

 

 E1991

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2018/1/31現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1961ほか参照)に続き,2017年10月中旬から2018年1月下旬までの主な情報を紹介する。

●被災地の図書館等の活動

 11月2日,福島第一原子力発電所事故の影響により休館中の富岡町図書館(福島県)が,2018年4月の再開館に向け,富岡町文化交流センターでブックキャラバン(図書の見本展示)及び配架予定図書に関する意見募集を実施した。
https://ja-jp.facebook.com/town.tomioka.fukushima/posts/1909069645771657

 1月23日,宮城県南三陸町で,東日本大震災で全壊した図書館と公民館を「生涯学習センター」として再建する工事の安全祈願祭が行われた。
https://www.town.minamisanriku.miyagi.jp/index.cfm/8,17063,47,381,html

●デジタルアーカイブに関する動き

 11月13日,東日本大震災・福島第一原子力発電所事故における救護活動の記録等を収録したデジタルアーカイブを公開している日本赤十字社と,米・ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所が,デジタルアーカイブのメタデータ連携に関する覚書を締結した。
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/171120_005040.html

 11月16日,宮城県多賀城市と米・ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所が,同市が運営する東日本大震災アーカイブ「たがじょう見聞憶」と同研究所の「日本災害DIGITALアーカイブ」(JDA)との連携・協力等に関する覚書を締結した。
http://www.city.tagajo.miyagi.jp/koho/shise/koho/documents/houdoua-kaibu.pdf

 12月7日,国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)に,2016年に原子力規制委員会で行われた記者発表及び会議等の動画が追加された。
http://kn.ndl.go.jp/static/2017/12/07

●記録を残す活動・伝える活動

 12月27日に福島県で開催された第5回福島イノベーション・コースト構想推進本部会議で,福島県が「東日本大震災・原子力災害アーカイブ拠点施設整備事業」の概要を発表した。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/innovationhonbu-kaisai.html
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/247990.pdf

●展示

  宮城県図書館の「東日本大震災文庫」で,2017年10月11日から12月9日までは「震災と津波」,2017年12月10日から2018年1月25日までは「震災と地震」をテーマとしたミニ展示が行われた。
http://mynet.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/1033-shinsaibunko-201710.html
http://mynet.library.pref.miyagi.jp/latest/events/exhibition/1070-shinsaibunko-201712.html

 10月12日から10月29日まで,11月15日から11月28日まで,及び12月9日から12月21日までの3期にわたり,福島大学附属図書館で,はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会が主催,福島大学うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)が共催する展示「アートで伝える考える福島の今、未来 in FUKUSHIMA」が開催された。第1期は「地域の歴史・民俗と震災」,第2期は「震災以前・震災以後」,第3期は「福島の未来」をテーマとし,映像作品や写真のほか,第2期,第3期はFUREによる震災遺産の保全やアーカイブ活動の成果が展示された。
http://hamanakaaizu.jp/news/アートで伝える考える福島の今、未来-in-fukushima.html
http://hamanakaaizu.jp/wp-content/uploads/fukushima_flyer_170927-1.pdf

 10月18日から11月5日まで,長岡市立中央図書館(新潟県)で,長岡市災害復興文庫展2017企画展「震災避難所の記録と記憶」が開催され,中越大震災・東日本大震災の避難所運営に関する記録の展示等が行われた。
http://www.lib.city.nagaoka.niigata.jp/?action=common_download_main&upload_id=5619

 10月28日から12月16日まで,弘前大学資料館(青森県)で,第17回企画展「被災地と向き合う-文化財レスキューの取り組み-」が開催され,宮城県気仙沼市で救出された民具・信仰資料・生活道具などが展示された。
http://shiryokan.hirosaki-u.ac.jp/exhibitions-info
http://shiryokan.hirosaki-u.ac.jp/exhibitions/1805

 11月3日から12月6日まで,福島県立図書館で,展示「10年後の飯舘村―願い・目標―」が行われ,福島県相馬郡飯舘村の震災前と震災後の写真が展示された。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/event/tenji/2017/29_11lobby%20.html

 12月4日,東北大学附属図書館で,同大学震災ライブラリーの資料の展示が始まり,2017年12月中は「《記憶の場》としての被災地―東日本大震災とこれからの歴史学―」,2018年1月中は「震災と子どもたち」をテーマとした展示が行われた。
http://www.library.tohoku.ac.jp/news/2017/20171222.html

 1月11日から1月25日まで,白河市立図書館りぶらん(福島県)で,福島県による「東日本大震災原子力災害パネル展」が開催された。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11055b/panerten.html

●イベント,講演会,講習会,研究会など

 10月24日,八幡平市立図書館(岩手県)の主催により,文学散歩「陸前高田を訪ねる~震災と復興~」として,同県陸前高田市の震災遺構や震災追悼施設等への訪問が行われた。
http://www.city.hachimantai.lg.jp/pdf/268_12_13.pdf
http://www.city.hachimantai.lg.jp/pdf/269_18.pdf

 12月8日,岩手大学図書館で,男女共同参画の視点から東日本大震災に関わる復興支援に取り組む岩手大学の男女共同参画推進室による,第28回岩手大学男女共同参画推進のための学習と交流の会「多様な人びとの経験を復興に活かす人材育成」が開催された。
http://www.iwate-u.ac.jp/gender/chiiki/file/20171208gakusyu_koryu.pdf

 1月11日,東北大学で,国立国会図書館と東北大学災害科学国際研究所が,「平成29年度東日本大震災アーカイブシンポジウム-被災県が実施する震災アーカイブの意義-」を開催した。
http://kn.ndl.go.jp/static/2017/10/311

●刊行物

 11月30日,東日本大震災被災地で移動図書館活動等を行ってきた公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が,『試練と希望:東日本大震災・被災地支援の二〇〇〇日』を刊行した。
http://sva.or.jp/wp/?news=26500
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028659019-00

 1月,佐藤知久氏,甲斐賢治氏,北野央氏の『コミュニティ・アーカイブをつくろう!:せんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」奮闘記』が刊行された。
http://recorder311.smt.jp/information/57198/

関西館図書館協力課調査情報係