カレントアウェアネス-E
No.3 2002.11.06
E016
韓国のCIP制度導入 <日韓業務交流報告>
9月9日から16日まで国立国会図書館と韓国国立中央図書館(NLK)との間で行われた第6回日韓業務交流において,「韓国のCIP制度の導入と運営」と題したテーマ発表があった。
NLKでは,現在作成提供している書誌データを標準化し,より迅速に流通させるために,出版時図書目録(Cataloging In Publication:CIP)制度を本年7月から導入した。12月までの試験期間を経て,翌1月から本格稼動の予定である。同制度の導入により,図書館は標準化された目録の利用が可能になり,人材や費用の節減,目録の質向上のほか,節減された費用による資料購入拡大,図書販売の増大等が見込まれる。また,CIPデータを出版流通情報システムの基礎データとして活用し,電子商取引などの出版流通界への寄与も期待されている。
導入にあたり,2001年2月に図書館界,出版界,書店等関連機関に呼びかけセミナーを開催し総合的な討論を経て,同年5月,NLK内にCIPセンターを設立した。その後一連の業務全体をインターネット上で処理可能なe-CIPシステムを開発し,翌1月から5月までのテスト期間終了後,全国の出版社を対象にCIP制度の概念や参加方法等を詳細に紹介する説明会を開催した。8月20日現在で参加申請を行った出版社は84社あり,11月からは最大手の教保文庫も協力予定である。出版社のCIP制度に対する理解を深め,早期定着と活性化のため,NLKは出版社に対してブロシャー(概要説明資料)配布や電話,訪問など積極的な広報を続けている。
(報告:伊藤淑子)
Ref:
第六回日韓業務交流 国立国会図書館月報 (499) 19, 2002