カレントアウェアネス
No.154 1992.06.20
CA811
BLがWhitaker社にCIP作成を委託
英国図書館(BL)は昨年3月末でCIP(Cataloguing In Publication:出版前の図書の目録情報)データの内部作成を打ち切り,4月からBook Data社が暫定的に作成業務を受託していたが(CA739参照),1992年からはWhitaker社が業務を引き継ぎ,CIPデータの提供を開始した。出版量次第だが,今年中に30,000件以上のCIPデータが提供されると予測される。Whitaker社は販売書誌British Books In Printや出版情報誌Booksellerの出版で著名な英国の出版社で,英国のISBN機関も同社内にある。
CIPデータの作成に際してWhitaker社は独自の内部フォーマットを使用することになり,その後でBLの仕様に変換される。記述はAACR2(英米目録規則第2版)第1レベルを基準にしているが,一部Whitaker社の慣例も含まれる。分類は主としてデューイ十進分類法(DDC)簡略12版によるが,小説や法律などの分野では完全20版を採用している。件名標目は既存のWhitaker件名標目表が典拠だが,かなり一般的な用語を用いているので,DDCとはうまく対応していない。
個人名著者標目は著者名典拠録(NAL)によりもたらされるが,団体名標目はNALに従わず,両者には二点ほど相違点がある。例えば,
・著者の記述は副標目形にしないで続けられる。
NAL: University of Edinburgh. Library
Whitaker: University of Edinburgh Library
・国名の付記をしない。
NAL: Stockton-on-Tees (England). Borough Council
Whitaker: Stockton-on-Tees Borough Council
さらに特徴的な点は,冠詞を除く各単語の先頭が大文字化されることであり,このことはBNB(イギリス全国書誌)やBLAISEオンラインシステムのデータとCIPデータを識別するのに役立てることができる。
また,CIPデータに価格や発行年月日などの重要な変更が起こった場合は,出版前であれば,BLに通知され,オンラインファイルが訂正,更新される。さらに,出版後はBLに納本された後,受入整理部門によって修正されていくことになる。
委託によって整理業務を合理化し,利用者により早く書誌情報を提供していきたい方向であると思われる。
太田かおる(おおたかおる)
Ref: McKinley, Cynthia. Whitaker CIP records hit the streets. Select (5) 1-2, 1991