英・ケンブリッジ大学図書館、同館所蔵のチャールズ・ダーウィンの研究ノートのうち2001年以来所在不明の2冊について情報提供を呼びかけ

2020年11月24日付で、英国のケンブリッジ大学図書館が、同館所蔵のチャールズ・ダーウィンの研究ノートのうち所在不明の2冊について、情報提供を呼びかけています。

所在不明となっているのは、ダーウィンが1837年のビーグル号航海から帰還した後に執筆した“Notebook B”及び“Notebook C”の2冊の研究ノートです。このうち“Notebook B”には、ダーウィンの理論を象徴する「生命の樹」のスケッチが収録されています。同館はその内容の希少性から、これらの研究ノートの価値は数百万ポンドに上ると推定しています。

2冊のノートは2000年9月に写真撮影のため同館の特別収蔵室から持ち出されたことが確認されていますが、2001年1月の定期点検では所定の位置で確認されず、それ以来所在不明となっています。当初は誤った場所に置き忘れられたのではないかと考えられていましたが、2020年初めに189の保管箱を含むダーウィンアーカイブ全体の徹底した調査を行ったにもかかわらず発見できなかったことから、同館は盗難被害に遭った可能性が高いと結論づけました。また、館内に未確認のスペースは残っているものの、特別コレクションスペースだけで棚長の総計が45キロメートル以上にのぼり、これらのスペースを完全に確認するには5年の時間を要する、としています。

これらの背景から、同館はケンブリッジシャー州警察に所在不明のノート2冊の盗難を届け出るとともに、広く一般に情報提供を呼びかけることを決定しました。また、盗難・紛失された芸術作品の国際的なデータベース“Art Loss Register”や、国際刑事警察機構(ICPO)の盗難美術品データベース“Psyche”への登録も行っています。

なお、“Notebook B”及び“Notebook C”は、「生命の樹」のスケッチを含めて全ての内容のデジタル化が完了しており、同館のデジタルアーカイブ“Cambridge Digital Library”で利用することができます。

Darwin’s missing notebooks(Cambridge University Libraries,2020/11/24)
https://www.cam.ac.uk/stories/DarwinAppeal

関連:
Notebook B (DAR 121)(Cambridge Digital Library)
https://cudl.lib.cam.ac.uk/view/MS-DAR-00121/1

Notebook C (DAR 122)(Cambridge Digital Library)
https://cudl.lib.cam.ac.uk/view/MS-DAR-00122/1

参考:
ダーウィンの手紙をデジタル化して公開(英国)
Posted 2007年5月29日
https://current.ndl.go.jp/node/5919

ケンブリッジ大学図書館所蔵のダーウィン『種の起源』原稿、デジタル化・公開される
Posted 2008年5月1日
https://current.ndl.go.jp/node/7759

ダーウィンの蔵書がデジタル化され公開、本人による書き込みもテキスト化
Posted 2011年6月24日
https://current.ndl.go.jp/node/18510

英ケンブリッジ大学等によるダーウィンの手紙資料デジタル化プロジェクト、5,000点を突破
Posted 2013年4月1日
https://current.ndl.go.jp/node/23233

『種の起源』の出版から155年、米国自然史博物館、ケンブリッジ大学図書館、ダーウィンの手稿資料等の高解像度カラー画像を公開
Posted 2014年11月25日
https://current.ndl.go.jp/node/27505

E2118 – 琉球大学附属図書館「迷子の本を探しています」実施報告
カレントアウェアネス-E No.366 2019.03.28
https://current.ndl.go.jp/e2118