Elsevier社、低・中所得国向けにオープンアクセス出版の論文処理費用を低く設定する地理的価格設定を試験導入

2023年10月16日、Elsevier社が、低・中所得国向けにオープンアクセス(OA)出版の論文処理費用(APC)を低く設定する、地理的価格設定(Geographical Pricing for Open Access:GPOA)モデルを試験導入すると発表しました。2024年1月開始予定であり、ゴールドOAの142誌が対象です。

GPOAモデルは、著者が拠点を置く国の一人当たり国民総所得(GNI)に応じてAPCの価格を設定するもので、低・中所得国の研究者や機関が最新の研究を発表するに当たっての経済的障壁を低くすることを目的としているとあります。

低所得国に拠点を置く著者の場合はAPCが全額免除、下位中所得国の場合は定価の20%、上位中所得国の場合は各国のGNIに応じて、定価の45%から90%の範囲で価格が設定されるとのことです。

Elsevier introduces geographical pricing pilot to support authors in low – and middle- income countries with equitable open access publishing options(Elsevier, 2023/10/16)
https://beta.elsevier.com/about/press-releases/elsevier-introduces-geographical-pricing-pilot-to-support-authors-in-low-and

Geographical Pricing for Open Access (GPOA) Pilot details(Elsevier)
https://beta.elsevier.com/about/policies-and-standards/pricing#4-gpoa-pilot

参考:
英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、107か国の中・低所得国の研究者がCUPのジャーナルにおいて無料でオープンアクセス出版できるようにすると発表 [2023年04月13日]
https://current.ndl.go.jp/car/180211

Springer Nature社、低所得国と低中所得国の研究者が無料でNature等においてオープンアクセス出版できるようにすると発表 [2023年01月11日]
https://current.ndl.go.jp/car/170662

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、“Research4Life”に参加し低所得国120か国の機関・組織に対して刊行する学術誌へのアクセスを提供 [2020年08月21日]
https://current.ndl.go.jp/car/41804

Elsevier社、Cell Pressの学術誌でのオープンアクセス出版オプションの提供範囲を拡大:“Cell”も対象 [2020年12月28日]
https://current.ndl.go.jp/car/42884