Transparency and Openness Promotion(TOP)ガイドライン適用を可能にする要因と障壁に関するジャーナル編集者を対象とした調査(文献紹介)

2023年2月1日付で、英国王立協会(The Royal Society)が刊行するオープンアクセス(OA)誌“Royal Society Open Science”において、米・インディアナ大学ブルーミントン校のKevin Naaman氏らによる論文“Exploring enablers and barriers to implementing the Transparency and Openness Promotion Guidelines: a theory-based survey of journal editors”が公開されています。

ジャーナルがオープンサイエンスポリシーを開発するのに役立つフレームワークを提供しているTransparency and Openness Promotion(TOP)ガイドラインの、適用の可能性、機会、動機について88人のジャーナル編集者を対象に調査しています。

調査結果として、回答者の大半はジャーナルでのTOPの適用を支持し、自分と同じ分野の他の編集者も支持していると認識している一方で、回答者のほとんどはTOP適用の優先度が他の編集責任に比べて高いと考えていないこと、TOP適用に際して時間、リソース、権限の不足といった障壁があること、研究の種類やオープンサイエンスの基準・実施レベルによってTOPへのサポートが異なること等が分かったとしています。

Kevin Naaman et al. Exploring enablers and barriers to implementing the Transparency and Openness Promotion Guidelines: a theory-based survey of journal editors. Royal Society Open Science. 2023, 10(2).
https://doi.org/10.1098/rsos.221093

参考:
OASPA・DOAJ・COPE・WAME、「学術出版における透明性の原則と優良事例」の第4版を公開 [2022年09月16日]
https://current.ndl.go.jp/car/46843

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、オープンアクセス(OA)ジャーナルのポートフォリオ全体で“Transparent Peer Review”を利用可能に:査読者のコメントや著者の回答等を公開 [2022年02月08日]
https://current.ndl.go.jp/car/45609

SAGE社、査読プロセスの透明性向上のためClarivate Analytics社とパートナーシップを締結 [2021年06月03日]
https://current.ndl.go.jp/car/44123

オープンアクセス出版社・PLOS、他国に赴いて行われた研究に関し研究報告の透明性向上のため新ポリシーを策定 [2021年10月07日]
https://current.ndl.go.jp/car/44937

査読に関するジャーナルのポリシーと編集者の見解(文献紹介) [2020年12月03日]
https://current.ndl.go.jp/car/42686

E2018 – 「学術出版における透明性の原則と優良事例」第3版が公開
カレントアウェアネス-E No.345 2018.04.19
https://current.ndl.go.jp/e2018

E2239 – 大学の研究データサービス/研究インパクト指標<報告>
カレントアウェアネス-E No.387 2020.03.12
https://current.ndl.go.jp/e2239