2020年11月19日付で、オープンアクセスジャーナル“eLife”に、オーストラリアのメルボルン大学のDaniel G Hamilton氏らによる共著論文“Meta-Research: Journal policies and editors’ opinions on peer review”が公開されています。論文では、生態学、経済学、医学、物理学、心理学のジャーナルの編集者322人へサーベイの結果が示されています。
調査対象となったジャーナルの49%が全ての投稿論文の盗用をチェックし、61%が著者に特定の査読者を推薦・非推薦することを可能としており、2%未満がオープン査読の形式を使用していることを報告しています。 ほとんどのジャーナルには、査読者からの査読レポートの編集に関する公式の方針が存在しませんが、91%の編集者が、編集者が査読レポートを編集することが適切である状況が少なくとも1例はあるとしています。
編集者はまた、出版倫理に関連する5つの事項についての見解を明らかにしています。 過半数の編集者は、共同査読、査読者がデータへのアクセスを要求すること、査読者が自身の論文の引用を推奨すること、編集者が自身のジャーナルで出版すること、レプリケーション研究(特定の論文の結果が再現されるか評価する研究)への支持を表明したと述べています。
著者らは、この研究で提示されたデータが、学術出版における査読の役割についてのさらなる議論を刺激し、ガイドライン開発の取り組みとポリシーの策定、特に編集と出版のポリシーの透明性に関して貢献することを願っていると結んでいます。
Hamilton, Daniel G; Fraser, Hannah; Hoekstra, Rink; Fidler, Fiona. Meta-Research: Journal policies and editors’ opinions on peer review. eLife. 2020.
https://doi.org/10.7554/eLife.62529
参考:
主要な学術雑誌171誌の査読・プレプリントに関する方針の明確性等の調査(文献紹介)Posted 2020年11月19日
https://current.ndl.go.jp/node/42454
CA1829 – 査読をめぐる新たな問題
カレントアウェアネス No.321 2014.09.20
https://current.ndl.go.jp/ca1829