オープンアクセス誌eLife、2021年7月以降に適用予定の新しい査読・出版方針を発表:原則としてプレプリントとして公開済の原稿のみ査読対象に

オープンアクセス(OA)誌“eLife”は、2020年12月1日付のEditorialにおいて、2021年7月以降に適用予定の新しい査読・出版方針を発表しました。

eLife誌は新方針の背景として、研究成果のプレプリントによる共有が進み、同誌で査読中の原稿の7割近くがbioRxiv、medRxiv、arXivのいずれかで公開されていることを挙げています。このような学術出版を取り巻く変化を受けて、自身の出版社としての機能を公開済の論文を査読してそれを保証することと再定義し、伝統的な「査読後に出版する」モデルを、インターネット時代に最適化された「公開後に査読する(publish, then review)」出版モデルへと改めるため、同誌は新たな方針を策定しました。

eLife誌は新方針の適用に伴う主な変更点として、プレプリントとして投稿された原稿のみ同誌の査読対象とすること、オープン査読による評価システムの構築も含め、公開されたプレプリントの査読済プレプリントへの転換を同誌の編集実務の中心に据えることの2点を挙げています。

Eisen, Michael B. et al. Peer Review: Implementing a “publish, then review” model of publishing. eLife. 2020;9, e64910.
https://doi.org/10.7554/eLife.64910

参考:
CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1829

欧州分子生物学機構とASAPbio、投稿前原稿の査読プラットフォームサービス“Review Commons”を2019年12月に立ち上げ
Posted 2019年10月7日
https://current.ndl.go.jp/node/39203

主要な学術雑誌171誌の査読・プレプリントに関する方針の明確性等の調査(文献紹介)
Posted 2020年11月9日
https://current.ndl.go.jp/node/42454

査読に関するジャーナルのポリシーと編集者の見解(文献紹介)
Posted 2020年12月3日
https://current.ndl.go.jp/node/42686