2022年11月23日付で、英国王立協会(Royal Society)の生物学分野の査読誌“Proceedings of the Royal Society B”にDylan G. E. Gomes氏らによる論文“Why don’t we share data and code? Perceived barriers and benefits to public archiving practices”が掲載されました。
論文は、研究データとコードの共有に関する課題と解決策をまとめたもので、個々の研究者の懸念を軽減することを目的としています。生態学等の分野の信頼性・透明性向上に取り組むSociety for Open, Reproducible, and Transparent Ecology and Evolution(SORTEE)の会議で招集したワーキンググループで実施したディスカッションや、文献調査をもとにまとめられています。
研究データとコードの共有に関する課題が、知識不足に関する5点(プロセスを知らない、複雑なワークフロー、大容量のデータ、不安、意義がわからない)、再利用に関する懸念4点(不適切な利用、権利、センシティブなコンテンツ、永続的でないストレージ)、行動や意欲の抑制要因3点(他の研究者に分析されることへの懸念、時間不足、インセンティブの欠如)の合計12点に整理されており、それぞれの課題に対して解決策が提示されています。
Gomes, Dylan G. E. et al. Why don’t we share data and code? Perceived barriers and benefits to public archiving practices. Proceedings of the Royal Society B. 2022, 289, 20221133.
https://doi.org/10.1098/rspb.2022.1113
参考:
北米研究図書館協会(ARL)、公的助成を受けた研究のデータ公開に関するレポートを公開2022-12-08
https://current.ndl.go.jp/car/167612
フランス・オープンサイエンス委員会、オープンサイエンスにおけるデータに関する実践の調査結果を公開 2022-11-02
https://current.ndl.go.jp/car/47098
2022年度第1回J-STAGEセミナー「オープンサイエンスの進展による研究データの共有・利活用の取り組み」の講演資料が公開される 2022-10-19
https://current.ndl.go.jp/car/47022
大学ICT推進協議会(AXIES)とオープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)による「研究データ管理事例集」が公開 2022-10-04
https://current.ndl.go.jp/car/46933
データコミュニティによるオープンサイエンスの推進(記事紹介) 2022-09-05
https://current.ndl.go.jp/car/46769
CA2025 – 再現性・複製可能性と研究図書館 / 西岡千文
カレントアウェアネス No.353 2022年09月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2025