CA959 – 図書館資源の共有と有効利用をめざして:調査研究プロジェクト活動報告(7) / 大塚奈奈絵

カレントアウェアネス
No.180 1994.08.20


CA959

図書館資源の共有と有効利用をめざして
−調査研究プロジェクト活動報告7)−

国立国会図書館(NDL)の図書館研究所の調査研究プロジェクトの一つである「国内における科学技術文献の資源配置と供給システムの実態調査」を担当するチームは,この7月で発足以来2年を迎え(CA856CA901参照),第二次中間報告を発表した。以下に過去1年間のチームの調査活動と第二次中間報告の内容を簡単に紹介するとともに,同チームの今後の予定を報告する。

(1)実施した調査

NDLの利用者調査として,昨年9月に「来館利用者アンケート調査」,12月に専門図書館協議会加入館を中心とする「科学技術文献の利用実態アンケート調査」,本年3月に「筑波研究学園都市試験研究機関等調査」(アンケートおよびインタビュー調査)を実施した。これらの調査は,平成4年度に実施した複写利用の実態調査と対をなすもので,NDLの利用する個人や間接サービスの対象となる各種図書館等のNDLの利用実態および他の機関の利用状況,科学技術文献に対する全体的なニーズ等を把握する目的で実施した。これらの調査の結果は,JICSTや国立大学の外国雑誌センター館等の利用実態と比較分析した上で,第3次中間報告として刊行する予定である。

また,外国雑誌センター館をはじめとする大学図書館の科学技術関係洋雑誌の資源配置調査として,学術情報センターより提供された目録所在情報データベースとNDL洋雑誌データベースのISSNによるマッチング調査を実施した。

(2)第2次中間報告の刊行

図書館情報学調査研究リポート(ILIS Report)第4号として,同チームの第2次中間報告「国内における科学技術文献の供給システム −主要3機関の比較調査報告書−」を部内資料として刊行した。この報告は,既報のJICST-NDL共同調査プロジェクトおよび外国雑誌センターの実態調査の結果をもとに,各機関の文献の供給システムの機能を,文献の発注・受入,書誌情報の作成,文献の管理,検索システム,所在情報の管理,文献の提供というプロセスごとに比較,解説したものである。

(3)今後の活動予定

現在,取りまとめ作業中の第3次中間報告を刊行するとともに,プロジェクト全体の報告書の骨子を作成し,図書館情報学シンポジウムを開催して関係諸機関との討議の場とし,関係者の批判を仰いだ上で,最終報告書を「図書館研究シリーズ』に発表する予定である。

大塚奈奈絵(おおつかななえ)