CA856 – 図書館資源の共有と有効利用をめざして:調査研究プロジェクト活動報告(2) / 大塚奈奈絵

カレントアウェアネス
No.161 1993.01.20


CA856

図書館資源の共有と有効利用をめざして
−調査研究プロジェクト活動報告 2)−

既報(CA836CA844参照)のように,国立国会図書館の図書館研究所は,昨年7月より図書館情報学調査研究プロジェクトを組織し,本年12月現在,3つのテーマに沿ってプロジェクトチームが活動中である。このうちの2つめのテーマ「国内における科学技術文献の資源配置と供給システムの実態調査」は,国内における科学技術文献の主要な所蔵・提供機関の資源配置と供給システムの実態を調査するとともに,国立国会図書館の蔵書状況・利用実態の評価と,供給システムの問題点を比較・検討することを目的とし,関係各機関の協力のもとに,2年間の予定で活動を開始した。今年度に実施する調査の概要は以下のとおりである。

(1)JICST-NDL共同調査

特殊法人日本科学技術情報センター(JICST)は,内外の科学技術資料を収集・加工し,JOIS,JOIS-Fデータベースをオンライン・サービスするとともに,広く複写,翻訳,閲覧サービス等も行っている。このプロジェクトでは,各々の機関の蔵書構成,収集方針,収集の体制,予算,供給システム等についての資料を作成して交換するとともに,所蔵の重複等について共同で調査を行い,本年度中に結果を取りまとめる予定である。

(2)外国雑誌センターの実態調査

国立大学の外国雑誌センター館は,学術雑誌を網羅的に収集し,文部省が推進している学術情報システムを通じて国内の研究者に広く提供して,学術雑誌の需要を基本的に国内の大学図書館の相互利用によってまかなえるようにすることを目標に,4分野9大学図書館に設置されている。今年度は,出張を中心に,収集状況や提供業務の現状を調査中である。

なお,来年度以降は,NACSIS-ILLによる文献複写の状況や,外国雑誌センターと国立国会図書館の収集状況との比較,NIST構想の専門センターの活動調査等を予定している。調査の成果は,順次研究リポートとして発表し,関係者の批判を仰いだ上で,プロジェクト全体の報告書をまとめる予定である。

大塚奈奈絵(おおつかななえ)