CA844 – 新しい主題情報のあり方を求めて:調査研究プロジェクト活動報告(1) / 平野美恵子

カレントアウェアネス
No.159 1992.11.20


CA844

新しい主題情報のあり方を求めて
−調査研究プロジェクトの活動報告 1)−

本年7月,国立国会図書館の図書館研究所が組織した調査研究プロジェクトの一つに「主題情報の組織化とユーザー・インターフェイス」があり(CA836参照)2年間を目処に活動を開始した。その目的は,ユーザーの検索行動を検証することによってデータベースとユーザー・インターフェイス双方の問題点を洗いだしユーザー・オリエンテッドな主題検索の実現にむけての改善点を探ることにある。今年度の課題としては,次の二つを取り上げる。

(1) OPAC機能調査

首都圏でOPACを導入した図書館のうち公共図書館4館と大学図書館5館,あわせて9館を対象に,担当者と面談してOPACの機能面を中心に調査するもので,すでに調査は終了し,結果をとりまとめ中である。

総じていうなら,OPAC導入に際し公共図書館は操作しやすさを重視してマニュアルや予備知識がなくても容易に操作できるシステムを目指しているのに対して,大学図書館の方は漢字検索を含む検索機能の充実と教育効果にも力点を置いているという相違がある。

(2) 検索行動の調査

国立国会図書館の全データベースを対象にトランザクション・ログ・アナリシス(CA806参照)を行ってユーザーの検索行動を調査するための準備を開始したところである。

具体的には,検索結果がゼロであるもの,あるいは100を超えるものを記録して問題点を洗いだしたり,どのようなインデックスが多用されているかなどを調査して,今後の検討に必要なデータを得るためのものである。

以上2つの調査研究の成果を踏まえて,来年度にはミニデータベースを構築して実験用データを収め,検索実験を行う方向で検討を進めている。また,調査の成果はできるだけ早い時期に順次,リポート形式で発表して関係者の批判をあおぎたい。そのうえで2年後にはプロジェクト全体の報告書を完成させる予定である。

平野美恵子(ひらのみえこ)