CA707 – 中国で著作権法が成立 / 鎌田文彦

カレントアウェアネス
No.136 1990.12.20


CA707

中国で著作権法が成立

中国の国会にあたる全国人民代表大会の常務委員会は,1990年9月7日,「中華人民共和国著作権法」を採択した。この著作権法は,1991年6月1日から施行される。

中国は,著作権制度の分野では,国際的な水準から大きく立ち遅れており,これが対外交流の一つの障害となってきた。このような状況を改善するため,国家版権局,国務院法制局を中心に,10年にわたって著作権法の起草作業が続けられてきた。全国人民代表大会の常務委員会でも,過去何回か審議されたが,各方面の利害関係の調整に手間取り,ようやく今回採択にこぎつけたのである。

成立した著作権法は,第1章総則,第2章著作権,第3章著作権の使用許可契約,第4章出版・実演・録音録画・放送,第5章法律上の責任,第6章付則の全6章,56条からなる。

国家版権局の関係者によれば,中国の著作権法は日本の著作権法の強い影響を受けており,著作隣接権の概念も取り入れたとのことである。また,コンピュータ・ソフトも著作権法の保護対象として規定されているが,本格的なソフト保護のための法規は,1991年末までに別に制定する予定である。

審議を重ね,利害関係を調整する過程で,著作権法の内容は当初の草案とは大きく変わった。このため,中国は即座に国際条約に加盟するわけにはゆかず,当分の間は各国と個別に著作権に関する協定を結ぶことになりそうである。

著作権法の制定により,中国はようやく著作権制度の分野でも国際社会へ一歩踏み出したことになる。そのような意味では,画期的な法律である。

鎌田文彦(かまたふみひこ)

Ref: 人民日報 1990. 9. 8
Publishers Weekly 237 (38) 12, 1990. 9. 21