中国の著作権法が改正:2021年6月1日から施行

新華網の2020年11月11日付け記事で、同日、第13期全国人民代表大会常務委員会第23回会議において、中国の著作権法改正案が採択されたことが報じられています。改正法は2021年6月1日から施行されます。

インターネット空間における著作権保護に関する規定の整備、特に著作権侵害における法定賠償額上限の大幅引き上げ(50万元から500万元)や「懲罰的賠償」原則の明確化等によって、創作者の権利と利益の保護が図られました。

著作物の定義に関する修正も行われており、現行法第3条第6項の「映画著作物及び映画の製作に類する方法で創作された著作物」は「視聴覚著作物」(「视听作品」)に改められています。記事では、これは著作権が保護する範囲の拡大を意味し、インターネット上のショートビデオのような新たなタイプの著作物が強力な法的保護を得ることになる、と述べています。

また、著作権及び著作権に関連する権利の保護のために、著作権者が技術的保護手段を採用できることも改正法では明確化された、としています。

中国新聞出版広電網の2020年11月12日付け記事では、中国文字著作権協会総幹事・張洪波氏による改正内容の紹介を掲載しています。その中では、中国が加盟しているマラケシュ条約の規定に基づき、権利制限規定に「視覚障害者等(原文では「阅读障碍者」)が感知できるバリアフリーな方式により既に公表された著作物を提供する」場合が追加されたことも紹介されています。

著作权法修改 明年6月1日起施行(新華網, 2020/11/11)
http://www.xinhuanet.com/politics/2020-11/11/c_1126727759.htm

China Focus: China passes law amendment to strengthen copyright protection(新華網, 2020/11/11)
http://www.xinhuanet.com/english/2020-11/11/c_139508962.htm

新修改的著作权法必将在国家经济社会发展中发挥应有作用(中国新聞出版広電網, 2020/11/12)
https://www.chinaxwcb.com/info/567393

全国人民代表大会常务委员会关于修改《中华人民共和国著作权法》的决定(2020年11月11日第十三届全国人民代表大会常务委员会第二十三次会议通过 )(全国人民代表大会, 2020/11/11)
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202011/272b72cdb759458d94c9b875350b1ab5.shtml
※全国人民代表大会ウェブサイト上での発表であり、現行法からの変更点をまとめています。

参考:
中国版権協会が著作物の著作権保護に関する委員会を設置
Posted 2020年9月2日
https://current.ndl.go.jp/node/41896

CA1831 – マラケシュ条約―視覚障害者等への情報アクセスの保障に向けたWIPOの取り組み / 野村美佐子
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1831

CA707 – 中国で著作権法が成立 / 鎌田文彦
カレントアウェアネス No.136 1990.12.20
https://current.ndl.go.jp/ca707