CA1949 – レーザーディスクのデジタル化に向けた国立国会図書館の取組み / 本田伸彰

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カレントアウェアネス
No.339 2019年3月20日

 

CA1949

 

 

レーザーディスクのデジタル化に向けた国立国会図書館の取組み

関西館電子図書館課:本田伸彰(ほんだのぶあき)

 

1. はじめに

 国立国会図書館(NDL)では図書や雑誌など紙媒体の資料等に加え、再生環境の旧式化や媒体自体の劣化が危惧されるアナログ形式の録音・映像資料のデジタル化を進めている。録音資料のカセットテープやソノシートに続き(E2057参照)、2016年度からは映像資料であるレーザーディスク(1)(LD)のデジタル化(2)の検討を開始し、2018年度から本格的にデジタル化に着手した(3)

 本稿では、デジタル化に向けた技術面の課題や、デジタル化したデータを「国立国会図書館デジタルコレクション」(4)(以下「デジタルコレクション」)を通じて提供する際に考えられる課題の検証結果などを中心にNDLの取組みについて報告する。

 

2. LDの概要

 LDは、レーザー光を照射して盤面に記録された映像や音声の情報を読み取り再生する光ディスクである。1970年代に欧米を中心に開発が進み、国内では1981年に民生用のプレイヤーがパイオニア株式会社から発売され「絵の出るレコード」とも言われ人気を博した。

 カラオケソフトや映画、アーティストのライブ映像、過去のテレビ番組を収録したものなど多様なタイトルが発売された。多くのメーカー(5)が市場に参入し、1990年代初頭に各社のLD事業はピークを迎えたが、その後は通信カラオケの普及に伴う需要の減少やDVDの登場により、急速に市場が縮小することとなった(6)。2009年には再生機器の生産が終了(7)するなど、長期的な利用を保証するための対策は急務となっている(8)

 

3. デジタル化の本格実施に向けたこれまでの取組み

 デジタル化の検討にあたり、事前調査としてNDL職員による複数の映像関係の業者(9)へのヒアリングや文献調査を2016年度前半に実施した。そこで得られた情報を基に2016年度後半には、デジタル化の仕様決定やコストの検討等を目的にデジタル化の試行を実施した(10)

 2017年度には事前調査や試行の結果について検証を行った。主な検証内容について技術面と提供面に分けて以下に述べる。

 

4. 検証内容(技術面)について

4.1. 記録方式の違いがデジタル化に与える影響

 LDには、記録方式の違いによりCAV(Constant Angular Velocity)とCLV(Constant Linear Velocity)の2種類のディスクがある(11)。CAVは一定の角速度(12)で回転するディスクで、収録時間が片面30分で「標準ディスク」とも呼ばれる。一方のCLVは一定の線速度(13)で回転するディスクで、収録時間が片面60分で「長時間ディスク」とも呼ばれる。

 この記録方式の違いが、デジタル化作業に与える影響やコストの違いについて業者に確認したが、特に違いはなくデジタル化時に留意する必要はないことが分かった。

 

4.2. チャプターの取扱い

 LDの特徴としてチャプター(14)の機能がある。チャプターの情報は、デジタル変換した際に自動的に移行されず、編集作業により情報を付与するにはコストも掛かるため、デジタル化で再現しないこととした。

 なおLDには、チャプターの機能を用いたインタラクティブなソフトがある。再生中に現れる分岐点で選んだ選択肢によって次に現れる映像が異なるものなどがあり、NDLでも実写の映像を使った推理ゲーム(15)などを所蔵している。ただし、現在のNDLの視聴環境(16)では再生できず、チャプターもデジタル化で再現しないことから、当面デジタル化の対象としないこととした。

 

4.3. Hi-Vision LDとドルビーサラウンドデジタル(AC-3)LDの取扱い

 1993年には、MUSE(17)方式と呼ばれる帯域圧縮技術を用いたHi-Vision LD(18)が市場に登場した。高精細、高品位な映像が特徴であったが、当時はディスプレイが非常に高価だったことなどもあり、大きく普及したとはいえなかった。

 また1995年には、映画館に近い臨場感ある音響が楽しめるLDとして、5.1チャンネル(19)の音声素材をまとめて圧縮し、1つのデジタル信号として扱ったドルビーサラウンドデジタル(AC-3)のLD(20)が登場した。

 Hi-Vision LDの再生には専用のデコーダ(21)が必要で、現在のNDLの視聴環境で再生することができない。また、AC-3のLDもNDLに専用のデコーダがなく、5.1チャンネルではなく2チャンネルでの再生となっている。そのためいずれも、当面デジタル化の対象としないこととした。

 

4.4. 映像データの仕様

 試行では、これまでNDLが実施した他のデジタル化案件と同様、デジタルコレクションを通じて提供することを想定した提供用データと、高品質の保存用データの2種類を作製した(22)。また、データのファイル形式は提供用、保存用ともMPEG-4 AVC(H.264)形式とし、ディスクの片面で1ファイルを作製することを基本とした(23)

 提供用データの仕様は、すでにデジタルコレクションで公開している映像資料(24)に合わせた。保存用データは、なるべく高画質、高音質が理想(25)とされているが、デジタル化に係る手間やコスト、データ容量を考慮し、実現可能な仕様を求めた。4パターンの映像部分のビットレート(26)、3パターンの音声部分のビットレート、2パターンの解像度(27)を織り交ぜ、表1にある8つのパターンの仕様を検証した。

 その結果、解像度をフルHDにするとアップコンバートの作業が発生し、データ変換に時間が掛かり、その分コスト増になることが分かった(31)。また、必要以上に映像や音声のビットレートを上げなくても、LDの品質をカバーできることも分かった。そのため、映像部分のビットレートを10Mbps、音声部分のビットレートを128kbps、SDの解像度(表1のパターン6)で保存用データを作製することとした。

 

表 1 試行時の保存用映像データ及び提供用映像データの品質

  保存用データ 提供用データ
パターン 1 2 3 4 5 6 7 8
フレームレート(28)
(fps)
30 30 30 30 30 30 30 30 30
ビットレート
(映像部分)
(bps)
100M 50M 25M 50M 25M 10M 50M 50M 1,024k
ビットレート
(音声部分)
(bps)
128k 128k 128k 128k 128k 128k 384k 224k 128k
解像度
(フレーム幅x
フレーム高)
フルHD(29)
(1920×1080)
SD(30)
(720×480)
SD
(720×480)

 

5. 検証内容(提供面)について

5.1. 複数音声の取扱い

 LDには、吹き替えの日本語と英語が収録された洋画作品や、副音声に別内容の解説が収録されたドキュメンタリー作品など、複数の音声を選択できるものがある。

 現在のデジタルコレクションでは、映像の情報と音声の情報を分けて持ち、連動させて同時に再生することはできない(32)。そのため、複数音声が収録されたLDをデジタル化する場合、音声の情報だけを複数持ち映像と連動させることができればデータ容量等を抑えることができるが、実際には音声の種類ごとに音声と映像両方の情報を持ったデータが必要となる。

 デジタル化の本格実施に向けては、ファイル容量の増加やデジタル化に係るコスト等に鑑み、全ての音声パターンをデジタル化するのではなく、音声の内容が同じでステレオとモノラルがある場合などは、ステレオのみをデジタル化することなどを決めた。

 

5.2. 字幕の取扱い

 LDグラフィックス(LD-G)(33)と呼ばれる種類のLDでは、再生中にプレイヤー側の操作によって字幕のオンとオフを切り替えることができる。字幕のオンとオフを切り替える機能は、デジタル化で再現することができず、字幕のあるパターンと、字幕のないパターンをそれぞれデジタル化する必要がある。

 そのため、デジタル化の本格実施時には、外国語の音声に日本語の字幕がある場合は字幕がある場合のみをデジタル化するなどとした(34)

 

5.3. 静止画の取扱い

 LDでは、映像の途中に静止画が挿入(35)されている場合がある(36)。静止画の挿入されたLDをプレイヤーで再生すると、静止画の挿入場所でいったん停止し、プレイヤー側の操作により先に進むことができる。その一方で、デジタル化したデータをデジタルコレクションの環境で再生しようとすると、静止画で停止せず映像の1コマとして一瞬で過ぎ去ってしまい、内容を確認することができない。静止画を切り出し、映像とは別に画像として提供する可能性を考慮し、デジタル化の試行では静止画を切り出す方法についても検証した。切り出しの方法には、映像としていったん取り込んだものを静止画として切り出す方法と、LDから直接静止画としてキャプチャする方法があるが、後者の方が、デジタルノイズが出にくいことが分かった。

 ただし、デジタルコレクション上で静止画をどのように提供するかなど(37)、検討すべきことが多く、当面デジタル化の対象としない方向で検討している。

 

6. 2018年度のデジタル化本格実施と今後の課題

 検証内容(表2)を踏まえ2018年度から、静止画が収録されたものを外すなど、比較的単純な機能を持つ30タイトルから本格的なデジタル化に着手した。LDが持つ複雑な機能をどこまでデジタル化で再現できるのか、再現すべきなのかは大きな課題である。

 また、再生機器の確保が難しく、一度にデジタル化することができる数量にも限りがある。音声を1パターンのみ、静止画を考慮しないなどすれば、デジタル化の速度を早めることも可能であろう。ただしその場合、LDを特徴づける多様な機能が失われることになることから、筆者としては引き続き慎重に検討を重ねる必要があると感じている。

表 2 デジタル化の本格実施に向けた主な検証内容と対応方針

検証内容 対応方針
チャプターの取扱い デジタル化で再現しない
Hi-Vision LDの取扱い 当面デジタル化の対象としない
ドルビーサラウンドデジタル(AC-3)LDの取扱い 当面デジタル化の対象としない
保存用映像データの仕様 フレームレート30fps、ビットレート(映像部分)10Mbps、ビットレート(音声部分)128kbps、解像度SDとする
複数音声の取扱い すべての音声パターンをデジタル化することはしない。音声の内容が同じでステレオとモノラルがある場合などは、ステレオのみをデジタル化する
字幕の取扱い すべての字幕パターンをデジタル化することはしない。外国語の音声に日本語の字幕が出る場合などは、字幕がある場合のみをデジタル化する
静止画の挿入されたLDの取扱い 当面デジタル化の対象としない


(1) 過去には「レーザービジョン」や「光学ビデオディスクレコード」などの名称も使われたが、本稿では一般に最も浸透していると思われる「レーザーディスク」に統一した。なお、レーザーディスクに関連する国内の規格としては下記などがある。
社団法人日本レコード協会. RIS 401:1992. 光学ビデオディスクレコード用附属品. 社団法人日本レコード協会, 1992, 10p.

(2) NDLは約1万5,000タイトルのLDを所蔵しているが、国内外の図書館や博物館等で同等規模の数量のLDをデジタル化した事例は見当たらない。

(3) NDLがデジタル化する映像資料の利用については、権利者団体や出版者団体など関係の団体や機関と協議し、2015年度に合意事項を取りまとめている。
“国立国会図書館がデジタル化した映像資料の利用に係る合意事項(国図電1603291号)”. 国立国会図書館. 2016-03-31.
http://www.ndl.go.jp/jp/preservation/digitization/eizou_agreement.pdf, (参照 2018-12-28).

(4) 国立国会図書館.“国立国会図書館デジタルコレクション”.
http://dl.ndl.go.jp/, (参照 2018-12-28).

(5) パイオニア株式会社の他、ソニー株式会社、ヤマハ株式会社、松下電器産業株式会社、三洋電機株式会社などがプレイヤーを販売した。

(6) 本稿で紹介するLDの開発や販売に関する歴史的経緯、概要等については、下記の文献等を適宜参照した。
松村純孝. “LD(レーザディスクシステム)の開発、実用化に関する系統化調査”. 国立科学博物館技術の系統化調査報告. 国立科学博物館産業技術史資料情報センター編. 国立科学博物館, 2014, (21), p. 145-216.
http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/085.pdf, (参照 2018-12-28).
松村純孝. LD(レーザディスクシステム)の歴史:その誕生から終了まで. 電気学会誌. 2017, 137(11), p. 772-775. レーザーディスク協会編. レーザーディスク/ハイビジョンLD ソフトウェア制作ガイドブック. 第4版, レーザーディスク協会. 1996, 50p.
中牟田正造. 図説によるシステムの全貌 光学式ビデオディスクシステム. 電子技術. 1981, 23(12), p. 26-45.

(7) 以下を参照した。
“報道資料 レーザーディスクプレーヤー生産終了のお知らせ”. パイオニア株式会社. 2009-01-14.
http://jpn.pioneer/ja/corp/news/press/index/422, (参照 2018-12-28).
松村純孝. LD(レーザディスクシステム)の歴史 ~その誕生から終了まで~. 電気学会誌. 2017, 137(11), p. 772-775.

(8) ヒアリングを実施した業者によると、媒体自体の劣化としては、一般的に1980年代前半に生産されたLDで、素材のアクリル樹脂の吸湿性が高いために接着面がはがれたり、内部が変色したりしてしまっているものがあるという。

(9) 単に「業者」と表記するが、ヒアリングした企業はいずれも録音・映像資料を扱う専門性の高い業者である。

(10) 業者に委託して実施した。委託業者にはデジタル化作業時に気付いた点などを、報告することを求めた。

(11) それぞれにディスクの直径が30cmのものと20cmのものがあり、カラオケソフトなど短時間のプログラムでは20cmのものが使われるなどした。

(12) 一定の回転運動において、単位時間あたりに進む角度の変化量のこと。

(13) ここでいう線速度は、単位時間あたりに読み込む情報が記録された溝の長さをいう。つまり線速度が一定の場合、円の内側を読み取る場合は角速度が大きく、外側を読み取る場合は角速度が小さくなる。

(14) チャプターは、LDの内容を幾つかの固まりに分けた先頭の目印のようなもので、プレイヤー側の操作で任意のチャプターから再生することなどができる。

(15) 『ミステリーディスク 殺しの迷路(シリーズ「推理ゲームディスク」第2弾)』(NDL請求記号:YL311-1115)など。このほか、専用のPCやコントローラがないと操作できないソフト(『アストロン・ベルト』(同:YL311-1170)や『バッドランズ』(同:YL311-1172)など)も所蔵している。

(16) NDL東京本館音楽・映像資料室の視聴環境では、再生、一時停止、先送り、巻戻し、前後のチャプターへの移動が可能である。ただし、任意のチャプターへの移動はできないため、インタラクティブなLDの再生は実質不可である。

(17) MUSEはMultiple Sub-Nyquist Sampling Encodingの略で、多重サブサンプリング伝送と訳される。

(18) Hi-Vision LDについては、下記などを参照した。
レーザーディスク協会編. 前掲. p. 29-32. 松村純孝. “LD(レーザディスクシステム)の開発、実用化に関する系統化調査”. 国立科学博物館技術の系統化調査報告. 国立科学博物館産業技術史資料情報センター編. 国立科学博物館, 2014, (21), p. 145-216.
http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/085.pdf, (参照 2018-12-28).

(19) 高帯域フルレンジの前方3チャンネルと後方2チャンネルに、サブウーハー駆動用の低域専用のチャンネル(0.1チャンネルと呼ばれる)を加え、5.1チャンネルとなる。

(20) ドルビーサラウンドデジタル(AC-3)のLDについては、下記を参照した。
レーザーディスク協会編. 前掲. p. 23-26.

(21) 圧縮されたデータを復元する装置のこと。

(22) 委託業者には、提供用データを外付けハードディスクに、保存用データをブルーレイディスク(BD-R)に格納して納品することを求めた。

(23) LDには、アニメの短編集やカラオケソフトなど、内容を短編1話ごと、楽曲1曲ごとに分けることができる資料も多い。デジタル化で再現しないチャプターの機能を代替するものとして、短編1話ごと、楽曲1曲ごとにファイルを作製してデジタル化することを検討した。しかし、ファイルを分割する編集作業にコストが掛かることや、現状のデジタルコレクションでは分割したファイルを連続再生することができないことなどから、一律片面で1ファイルを作製することとした。なお、録音資料のカセットテープやソノシートのデジタル化の際も、片面で1ファイルを作製している。

(24) 「愛・地球博」コレクションに含まれる映像資料に合わせた。NDLがデジタル化したものではなく、2005年日本国際博覧会(愛・地球博)に関する資料を一般財団法人地球産業文化研究所(GISPRI)がデジタル化したもの。
“愛・地球博関係デジタル化資料の国立国会図書館への寄贈について”. 一般財団法人地球産業文化研究所. 2016-02.
http://www.gispri.or.jp/newsletter/201602, (参照 2018-12-28).

(25) 理想をいえば、作製するデータは非圧縮の形式が推奨される。試行でも、一部のタイトルについては非圧縮のAVI形式(拡張子「.avi」)、MOV形式(拡張子「.mov」)でファイルを作製し、データ容量の違い等を確認したが、データ容量が非常に大きくなり50GBのBD-R1枚に約4分30秒分の映像しか記録することができなかった。

(26) 圧縮された映像データや音声データが、単位時間(1秒が一般的)あたりどれくらいのデータ量(ビット)で表現されているかを表したもの。以下に詳しい。
IMAGICA. 映画・映像データの取り扱い、仕組みと実際(映像データの取り扱いに関する技術セミナーに向けた,教材作成並びに講師派遣委託事業). 国立映画アーカイブ. 2016, p. 10-13.
http://www.nfaj.go.jp/fc/wp-content/uploads/sites/5/2017/03/a0c8088fdf09bbd4ba1436b1a317da52.pdf, (参照 2018-12-28).

(27) 画像や映像の精細さを表すもので、横と縦のピクセルサイズで「720×480」などと表記する。前掲. p.7-10. 及び以下に詳しい。
“ポストプロダクション技術マニュアル”. 第7版, 一般社団法人日本ポストプロダクション協会, 2015, p. 78-80.

(28) 映像を構成する連続した画像(フレーム)が、1秒間に何枚更新されるかを表す。この値が高いほど、画面の表示がなめらかになる。
IMAGICA. 前掲. p. 30-33.

(29) Full High Difinitionの略。BSデジタル放送の一部や市販のBDソフトに収録の映像に使われている解像度。

(30) Standard Definitionの略。アナログ放送時代に主流だった解像度で、市販のDVDソフトに収録の映像に使われている解像度。

(31) モニターレベルでの検視聴では、フルHDにアップコンバートすると、逆に残像が出てしまうことも判明した。

(32) 映像と音声を連動させるプログラムをデジタルコレクションに組み込む方法は、コスト面などから現在は実現が難しい。

(33) 字幕のオンとオフが切り替えられるLDとしては、LDグラフィックス(LD-G)の他、クローズドキャプションと呼ばれる技術を用いたものが後年登場した。

(34) 日本語の音声に英語など他言語の字幕が出る資料は、字幕のある、なし両方をデジタル化することとした。

(35) 理論上、CAV(標準ディスク)の片面に最大5万4,000枚の静止画を収録することができる。静止画の有無、枚数、挿入場所の詳細は、実際にLDを全編再生して確認する必要がある。

(36) 試行では、14タイトルをデジタル化したが、そのうち4タイトルに静止画が含まれていた。医療用内視鏡の画像診断技術を題材にしたタイトルで消化管内部の画像が挿入されていたり、エジプト文明を紹介したタイトルでピラミッドの画像が挿入されていたりした。

(37) 他機関の例では、静止画の部分を1枚5秒にして再生している例もあるが、その方法を採用した場合、静止画の枚数が多ければそれだけで映像の収録時間やデータ量が劇的に増えてしまう恐れがある。
 

 

[受理:2019-02-05]

 


本田伸彰. レーザーディスクのデジタル化に向けた国立国会図書館の取組み. カレントアウェアネス. 2019, (339), CA1949, p. 19-22.
http://current.ndl.go.jp/ca1949
DOI:
https://doi.org/10.11501/11253595

Honda Nobuaki
Challenges of the National Diet Library for Digitizing Laser Discs