E2057 – 「国立国会図書館資料デジタル化の手引 録音資料編」を公開

カレントアウェアネス-E

No.354 2018.09.13

 

 E2057

「国立国会図書館資料デジタル化の手引 録音資料編」を公開

 

 国立国会図書館(NDL)は,所蔵するアナログ形式の録音資料のうちカセットテープとソノシートをデジタル化する場合の仕様の共通化や技術の共有化を目的に「国立国会図書館資料デジタル化の手引 録音資料編(カセットテープ,ソノシート)」(以下「手引」)を作成し,NDLウェブサイト上で2018年6月に公開した。手引作成の背景や,概要について紹介する。

●手引作成の背景

 NDLは,所蔵資料を画像としてデジタル化する場合を対象とした「国立国会図書館資料デジタル化の手引」を2005年に刊行し(E413参照),その後もNDLでのデジタル化の際に得られた知見や経験を踏まえ,2011年と2017年に改訂(E1215E1938参照)を行った。国内の類縁機関が同様のマニュアル等を作成する際に,その内容が参照されるなど評価いただいているが,今回の手引はその姉妹編にあたるものである。

 録音資料のデジタル化について,NDLはこれまでも電子情報の長期利用保証に関する調査研究の一環として,情報収集を続けてきた。2006年度には録音資料の規格や再生機器の情報等に関する調査の結果をまとめ,2010年度にはカセットテープ等のデジタル化の技術的な可否を確認した。また今回の手引の元となる案についても検討を行ったが,当時は録音資料のデジタル化を本格的に実施するNDLの体制も整っておらず,公開するまでには至らなかった。

 その後2014年度に,NDLは権利者や出版者など関係団体や機関との間で,デジタル化を実施する録音資料の利用について合意事項を取りまとめ,カセットテープとソノシートからデジタル化を進めることになった。NDLでは,SP盤やLP盤などアナログディスクレコードに加え,オープンリールなど多種のアナログ形式の録音資料を所蔵しているが,手引でカセットテープとソノシートを対象としたのは,これらの資料を実際にデジタル化し,NDLの館内限定ではあるものの,「国立国会図書館デジタルコレクション」を通じて提供するという経験が得られたためである。

●手引の概要

 手引の体裁は,画像としてのデジタル化の手引を踏襲した。表紙を同系色にするなどデザイン面のほか,巻末に仕様書のサンプルを付すなど構成も画像としてのデジタル化の手引の姉妹編であることが分かるようにした。また手引は,NDLが蓄積した知識や情報をまとめた側面もあり,脚注を充実させるなど,用語の説明にも力を入れている。

 手引が記述する範囲は,対象資料の選定から音声データの作製,原資料や音声データの保存措置までの工程で,手引の本編は「1 デジタル化作業の概要」「2 原資料の概要」「3 デジタル化に関する技術情報」「4 デジタル化の方法(音声データ等の作製)」の各章からなる。

 「1 デジタル化作業の概要」では,デジタル化の目的や基本的な方針,工程の概略を記した。デジタル化にあたっては,原資料を現状のまま保存しながら,合理的・効率的・経済的な作業を心掛けることや,作製する音声データを汎用性の高いフォーマットで保存し,長期保存に適した媒体に格納することなどを,基本的な方針として記載している。

 「2 原資料の概要」では,カセットテープとソノシートについて,関連する国際電気標準会議(IEC)規格や日本工業規格(JIS)など国内外の規格のほか,各媒体の材質や収録時間などの特徴を紹介している。

 「3 デジタル化に関する技術情報」では,デジタル化に用いる機器等のほか,アナログ信号をデジタル変換する際に取得するサンプルの数を示す「サンプリング周波数」や,音声の波形の振れ幅をどれだけ区切ってデータ化するかを示す「ビット深度」など音声データの仕様についても説明している。

 「4 デジタル化の方法(音声データ等の作製)」では,作業のための原資料の搬出・事前調査,音声データの作製・品質検査・編集,その後の納品など,デジタル化の各作業の概要について順を追って説明している。

 また巻末の仕様書サンプルは,2017年度にカセットテープを外部に委託してデジタル化した際の仕様書を元に作成した。

 なお,今回の手引では,画像としてのデジタル化の手引の参照を前提に,記述の対象外とした部分もある。画像としてのデジタル化の手引で1章を設けたデジタル化のプロジェクト管理については,内容が重複することから,今回は盛り込んでいない。また通常,録音資料のデジタル化では,音声データの作製に加え,付属する歌詞カードやジャケット等の画像データの作製もセットで考えられるが,手引は音声のデジタル化に特化している。仕様書サンプルも,画像のデジタル化については言及しておらず,その点はご留意いただきたい。

 今回の手引が,録音資料のデジタル化を検討している各機関等で,画像としてのデジタル化の手引とともに,参考になれば幸いである。また,今回対象外となったアナログディスクレコード等について,NDLが今後デジタル化を実施して新たな知見を得られた場合などには,必要に応じて内容の見直しを行う予定である。

関西館電子図書館課

Ref:
https://doi.org/10.11501/11114983
http://www.ndl.go.jp/jp/preservation/digitization/guide.html
https://doi.org/10.11501/10341525
http://www.ndl.go.jp/jp/preservation/dlib/research2006.html
https://doi.org/10.11501/999251
http://www.ndl.go.jp/jp/preservation/dlib/research2010.html
https://doi.org/10.11501/8977834
https://doi.org/10.11501/8977835
https://doi.org/10.11501/8977836
https://doi.org/10.11501/8977837
http://www.ndl.go.jp/jp/preservation/digitization/consult.html
http://www.ndl.go.jp/jp/preservation/digitization/rokuon_agreement.pdf
http://dl.ndl.go.jp/
E413
E1215
E1938