No.2に引き続き,電子情報環境下における我が国の科学技術情報の資源配置の全体像を明らかにし,科学技術情報の収集整備において,今後国立国会図書館が果たすべき役割及び関係機関との連携協力の方向性を明確化することを目的に実施した調査の結果をまとめたものである。
本書では,まず1章で調査の概要を示した後,2章で学術雑誌の全国的な配置状況について,大学図書館及び国公私立の研究機関等における1980年以降 25年間の変化を調査し,その結果を報告している。3章では,国立国会図書館の遠隔複写サービス利用者を対象とした質問紙調査に基づき,遠隔複写サービスの利用にいたる情報検索経路を明らかにするとともに,配送メディア,速度,費用の3点に関する利用者の選好意識の検証,利用者層の分類を行った。4章では,関西文化学術研究都市内の研究者を対象に,学術情報の利用にかかる情報行動パターンを明らかにするとともに,関西館が関西文化学術研究都市内の諸研究機関といかに連携すべきかを論じた。 5章では,米国,英国,ドイツにおけるドキュメント・デリバリー・サービスの最近の動向をレビューするとともに,各国のドキュメント・デリバリー・サービスが目指すほう構成についての3つのモデルを紹介した。
最後に,2年間にわたる調査の結果を受けて,わが国の科学技術情報の蓄積・流通の在り方と,その中で国立国会図書館が果たすべき役割を展望した。
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