E862 – 欧州デジタル図書館“Europeana”,公開開始も直後にダウン

カレントアウェアネス-E

No.140 2008.12.10

 

 E862

欧州デジタル図書館“Europeana”,公開開始も直後にダウン

 

 2005年9月30日の計画発表から約3年。2008年11月20日,欧州デジタル図書館(E390CA1632参照)“Europeana”が公開された。

 これは,欧州連合に加盟する27か国の,合計1,000を超える国立図書館・文化機関等が提供している,合計200万点以上の各種デジタルコンテンツ(書籍,地図,録音資料,写真,文書,絵画,映画など)へのアクセスを提供するポータルサイトの機能を果たすものであり,登録ユーザがデータを保存できる個人用ページ“MyEuropeana”やタグ付与機能など,Web 2.0機能も有している。公開時点で提供されている200万点のコンテンツの過半数(52%)はフランスの機関によるものであり,オランダ,英国がともに10%と続いている。有名なコンテンツとしては,ベートーベンの交響曲第9番を筆頭に,マグナ・カルタ(大憲章),フランス人権宣言,ダンテの『神曲』,フェルメールの絵画『真珠の耳飾りの少女』,モーツァルトの自筆書簡・楽譜,シベリウスの作品の演奏,ベルリンの壁崩壊時の映像などが含まれている。

 ところが,公開直後から1時間あたり1,000万回を超えるアクセス(同時アクセス3,000ユーザ)が殺到し,満足に閲覧できない状態となってしまい,サーバ(3台)を設置・運用していたオランダ王立図書館と欧州委員会は同日のうちに,処理能力増強のためにサービスを停止する決定を下した。こうして,翌21日にサービスは停止され,Europeanaはわずか1日だけの公開となってしまった。増強措置の後,サービスは12月中旬に再開される予定である。

 なおEuropeanaは,公開開始時点ではまだ完成の途上にあると位置付けられており,今後,言語横断検索(例:“library”という検索語で“Bibliothek”“Bibliotheque”など他言語の同義語もヒットさせる)機能やコミュニティ機能の追加,アクセスできるコンテンツの拡充などを行っていく予定とされている。また欧州委員会は,Europeanaを通じて2010年に1,000万点以上のコンテンツにアクセスできるようにすることを目標として掲げており,2009~2011年に毎年200万ユーロ(約2.4億円)の運営経費(全体の80%に相当。残りは各国・文化機関が負担)とは別に,デジタル図書館に関する研究およびアクセシビリティの改善に対し2009,2010年で総額1億1,900万ユーロ(約142億円)を助成して,直接・間接的にEuropeanaを支援するとしている。また各国に対して,デジタル化の推進,Europeanaの国民向け広報,Europeanaへのスポンサードを呼びかけている。

Ref:
http://www.europeana.eu/
http://dev.europeana.eu/
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/1747
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/08/733
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/08/724
E390
E461
E541
E646
E813
CA1632