E541 – 欧州デジタル図書館計画の促進に向けた勧告

カレントアウェアネス-E

No.91 2006.09.20

 

 E541

欧州デジタル図書館計画の促進に向けた勧告

 

 EUが進めている欧州デジタル図書館計画(E390E461参照)では,2008年までに200万点,さらに2010年までには600万点以上の本,フィルム,写真,手稿などを閲覧できるようにという目標が立てられているが,現時点では対象資料のデジタル化は十分に進んではいないようであり,EUは目標達成のためにデジタル化のスピードを上げる必要があると認識している。こうした現状を受けて,8月24日,欧州委員会からプロジェクトの参加国向けに,デジタル化の取り組みをよりいっそう推進することを求める勧告が出された。  

 今回の勧告は,電子図書館プロジェクトの重要性を説く前文に始まり,大きく分けて資料のデジタル化(大規模なデジタル化設備の準備,デジタル化の状況と今後の見通しを発表,民間部門との協力関係の構築),オンライン上のアクセシビリティ(多言語対応,orphan works(注)の扱いなど著作権処理),デジタル資料の保存(長期保存に向けた戦略の立案)といった点から12の項目について言及されている。  

 ところで,この計画に関しては,2005年のi2010イニシアチブの発表以来頻繁に情報が出されたというわけではなかったが,最近EUのウェブサイトにあるデジタル図書館計画の紹介ページが拡充され,まとまった情報が入手しやすくなりつつある。ここでも勧告の概要が紹介されているほか,計画の必要性,3月に公表されたパブリックコメントの内容,今後の見通しなどにも言及されている。  

(注)著作権は存続しているものの,著作権者やその連絡先といった情報が不明であり,使用許可などを求めたくとも誰にどのような方法で依頼すればよいかが分からない状態にある作品。

Ref:
http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/doc/recommendation/recommendation/en.pdf
http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/index_en.htm
http://www.public-cio.com/newsStory.php?id=2006.08.25-100716
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2006_08_20_fosblogarchive.html#115650918021900381
E390
E461