E554 – 諸外国の公共図書館の実態調査 <文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.92 2006.10.04

 

 E554

諸外国の公共図書館の実態調査 <文献紹介>

 

株式会社シィー・ディー・アイ. 諸外国の公共図書館に関する調査報告書. 2005, 290p. (オンライン), 入手先 < http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06082211.htm >, (参照:2006-10-02).

 文部科学省は2006年9月,2005年度に実施した委託調査「図書館の情報拠点化に関する調査研究」の成果物である『諸外国の公共図書館に関する調査報告』をウェブサイトで公開した。本報告は,主要国首脳会議(G8)各国に中国,韓国を加えた10か国を対象に,公共図書館の法的・制度的な位置付け,実際の図書館の運営・サービスの実態など合計50項目を調査し,取りまとめたものである。

 第1部「諸外国の公共図書館に関する調査 調査結果の概要」では,各調査項目ごとに各国の調査結果を比較した概要と,調査結果の一覧を見ることができる。調査項目「図書館に対する一般国民の意識」において,人口当たりの図書館数が少ない中国・韓国・日本・カナダ・米国で公共図書館に対する国民の期待が高かったのに対し,図書館数が多いイタリアやドイツで国民の関心が低いという報告がされているなど,興味深い結果も数多く紹介されている。ただし,国や調査項目によっては,日本の状況と比較可能なデータが十分に得られなかったものもある。

 第2部「各国調査報告」は,各国の公共図書館の実態について,表や地図も交えながら詳細に紹介している。イタリアやロシアなど日本語での先行研究が少ない国の実態を知ることができる上,米国や英国など先行研究が多い国についてもその実態を簡潔に知ることができる。

 本報告は日本の図書館政策や図書館情報学研究において,大変有益な資料であると言えよう。