E646 – 欧州デジタル図書館,著作権問題の解決に向けた提言を公表

カレントアウェアネス-E

No.106 2007.05.16

 

 E646

欧州デジタル図書館,著作権問題の解決に向けた提言を公表

 

 欧州デジタル図書館(E390E461E541参照)の著作権問題は,図書館界,出版業界,大学・学術機関,Google社の代表が参加する「デジタル図書館に関する高次専門家グループ著作権サブグループ(Copyright Subgroup, High Level Expert Group on Digital Libraries)」によって検討がなされてきた。同サブグループでは2006年10月にはデジタル資料の長期保存と著作権,“Orphan Works(E550参照)”や「絶版資料(Out-of-Print)」の利用と著作権について中間報告を公表し,議論を続けてきたが,このほど,著作権問題の解決に向けた提言をまとめ,2007年4月18日に公表した。

 この提言では,(1)長期保存を目的としたデジタル資料の複製やマイグレーションの実施,(2)“Orphan Works”利用に際する,合理的な事前調査の実施,(3)「絶版資料」に対するデジタル化と館内利用を認めるライセンスの導入,の3点を示している。とりわけ(3)では,「絶版資料」を「すでに商業的価値を喪失していたり,権利者により絶版であると宣言されている資料」と定義し,権利者と締結する契約のモデルを提示している。このモデルでは,図書館のデジタル利用権をいつでも撤回できるといった権利者が保持する権利にも,具体的に言及されている。

 「高次専門家グループ」では今後,欧州の文化的資源のデジタル化に関する官民共同事業や民間資金の活用について議論していくほか,公的資金の助成を受けた研究成果のオープンアクセス化への取り組みも予定している。

Ref:
http://ec.europa.eu/information_society/newsroom/cf/document.cfm?action=display&doc_id=295
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/07/508&format=HTML&language=EN
http://ec.europa.eu/information_society/newsroom/cf/itemlongdetail.cfm?item_id=3366
http://ec.europa.eu/information_society/newsroom/cf/document.cfm?action=display&doc_id=296
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2007/april2007/eurodiglib.cfm
E390
E461
E541
E550