E647 – 公立図書館における図書館職員の研修に関する実態調査

カレントアウェアネス-E

No.106 2007.05.16

 

 E647

公立図書館における図書館職員の研修に関する実態調査

 

 全国公共図書館協議会は2007年3月,図書館職員の研修に関して全国の公立図書館を対象に実施した電子メールによるアンケート調査結果を「2006年度(平成18年度)公立図書館における図書館職員の研修に関する実態調査報告書」として公表した。この調査には,全都道府県立図書館と96%の市区町村立図書館が回答している。

 本報告書は,(1)研修の実施状況,(2)研修への参加状況,(3)研修の問題点,(4)全国7ブロックの研修の4章からなり,全28項目の調査データをとりまとめたものである。第1章では主催した研修の内容が分析されており,第2章では開催地別研修参加者数などが都道府県別に比較できる。第3章では,研修を企画・実施する際も,研修に参加する上でも,いずれも予算と時間と人手の確保が難しいという実態を確認できる。しかしながら「研修は研修テーマの習得以外に,参加者間のコミュニケーションも大切な要素である」といった意見が調査回答にあるように,研修参加は他館の情報を生の声で収集でき,かつ自館をアピールできる貴重な機会であるといえよう。第4章は,全国公共図書館協議会の全国7ブロック(北日本,関東,東海・北陸,近畿,中国,四国,九州)が2005年度に主催した研修の実態を表している。

 地域の学習・情報拠点としての役割を果たすべき公共図書館にとって,図書館職員の資質向上が不可欠であるという認識のもと,どのように研修の充実を図っていくかは各館共通の課題である。全国公共図書館協議会は,2006,2007年度の2か年で「図書館職員の研修」についての調査研究に取り組むとしている。本調査データの特色ある研修事例をはじめ,詳細な分析や提言等は2007年度に分析を行うとしており,成果が期待される。

Ref:
http://www.library.metro.tokyo.jp/15/15h2006.html