カレントアウェアネス-E
No.137 2008.10.15
E846
ISO11620図書館パフォーマンス指標の改訂版が発行される
2003年以降,ISO/TC46/SC8(国際標準化機構/情報とドキュメンテーション技術委員会/統計と評価分科委員会)は,図書館パフォーマンス指標ISO11620“Information and documentation- Library performance indicators”の改訂作業行ってきたが(E101,E652参照),2008年8月に第2版を発行した。
ISO11620は,図書館が提供するサービスや諸活動の品質,有効性,効率性を評価することを目的とした経営ツールのための指標を規定する国際規格である。1998年の初版で29の指標が規定され,2003年の修正版(Amendment1)で5つの指標の追加があった。今回の改訂では,ISO/TR20983電子図書館サービスのためのパフォーマンス指標(CA1497参照)との統合を目指し,「アクセス拒否されたセッションの割合」や「電子的サービスに従事している職員の割合」などの電子的サービスに関する指標や,新たに有効性が実証された「人口当たり座席数」「人件費に対する資料購入費割合」など,23の指標が追加された。一方で,既存の指標についても見直しが行われ,検証の結果その有用性に疑問が呈された「タイトル利用可能性」「職員当たり貸出数」など12の指標が削除された。最終的に第2版に規定されているのは,全部で45の指標となっている(注)。
指標は,バランスト・スコアカードの考え方に基づき,それぞれ「情報資源・アクセス・基盤」「利用」「効率性」「発展可能性」の4つの視点に振り分けられており,さらにその中で「所蔵資料」「アクセス」「設備」「職員」「全般」の5つの図書館の活動領域に分類されている。国際規格は5年ごとに見直しがあり,十分に検証され適切であると認められた指標は,見直し時に追加されていく。特に,アウトカムに関する指標の追加の可能性が規格の本文で示唆されている。
このISO11620の改訂と同時にTC46/SC8で改訂が進められていた図書館統計の国際規格ISO2789“International library statistics”第4版は,2006年9月に発行されている。現在,日本工業規格として制定されているJISX0812「図書館パフォーマンス指標」とJISX0814「図書館統計」は,いずれも2003年時点のISOに対応しているため,今後,それぞれ改訂内容を反映させていく必要があろう。
(注)指標一覧は,『情報の科学と技術』Vol.57 No.7のp.325表を参照のこと。ただし,この表は2005年の委員会原案であり,確定した国際規格では,「開館時間の利用者ニーズとの一致度(Hours Open Compared to Demand)」の指標が追加されている。
Ref:
http://www.iso.org/iso/iso_catalogue/catalogue_tc/catalogue_detail.htm?csnumber=37853
徳原直子. 特集, 情報活動と標準規格: 図書館評価 : パフォーマンス指標と統計. 情報の科学と技術. 2006, Vol.56, No.7. p.323-330. http://ci.nii.ac.jp/naid/110004759541/, (参照2008-10-14).
CA1497
E101
E652