E652 – 図書館パフォーマンス指標,ISO/TC46における改定作業進む

カレントアウェアネス-E

No.107 2007.05.30

 

 E652

図書館パフォーマンス指標,ISO/TC46における改定作業進む

 

 2007年2月,日本工業規格JIS X 0812「図書館パフォーマンス指標」が改定された。これは,2003年に国際標準規格ISO 11620“Library performance indicators”に追補版(Amd 1: 2003“Additional performance indicators for libraries”)が制定されたのを受け,これを反映させたものである。

 この改定と同時に,図書館パフォーマンス指標の基礎となるデータの規定を含むISO 2789: 2003 “International library statistics”に対応した,JIS X 0814「図書館統計」が新たに制定された。図書館間での比較が可能となるよう,図書館が採取するべき統計データの定義や集計方法について規定されている。ただし,ISO 2789については既に2006年に改訂版が出版されている。

 これらISO 11620やISO 2789を担当する国際標準化機構/情報とドキュメンテーション技術委員会(ISO/TC46)の統計・評価分科委員会(SC8)では,パフォーマンス指標をめぐるISOの改定作業が進められている。

 SC8に設置されているパフォーマンス指標のための作業グループ(WG4)では,ISO 11620とISO/TR 20983「電子図書館パフォーマンス指標」(CA1497参照)を統合するための改定作業が進められている。既に2回にわたる国際規格原案への投票が終了し,現時点で44の指標が候補にあがっている。2007年10月には最終国際規格案の投票が行われる予定である。

 また,SC8のもと2006年10月に新たに設置された国立図書館のためのパフォーマンス指標の作業グループ(WG7)では,テクニカルリポート(ISO/TR 28118)の取りまとめ作業が進められている。このテクニカルリポート(TR)化は,2005年IFLAオスロ大会の国立図書館分科会で提案されたもので,WG7には国立国会図書館も参加している。

 あらゆる図書館の評価を対象とするISO 11620には,「人口当たり来館回数」「人口当たり貸出数」など,全国民を対象とする国立図書館には有効ではない項目が多い。また,国立図書館の重要な業務である納本制度,国際協力業務などについての指標が存在しない。これらを踏まえ,ISO/TR28118には「国内出版物の納本率」,「特定コレクションにおける電子化済み資料の割合」,「国際協力業務に従事する職員の割合」などの指標が選定されている。WG7ではTR制定までを担当する。TR制定後は各国立図書館による試行が行われ,有効性が認められた指標については国際規格(ISO)化することとなっている。

(国立国会図書館: 徳原直子)

Ref.
http://www.jla.or.jp/archives/343.txt
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004759541/
http://www.iso.org/iso/en/CatalogueDetailPage.CatalogueDetail?CSNUMBER=34358
http://www.iso.org/iso/en/CatalogueDetailPage.CatalogueDetail?CSNUMBER=39181
http://www.iso.org/iso/en/CatalogueDetailPage.CatalogueDetail?CSNUMBER=34359
CA1497