E584 – 違法・有害情報に対するサーバ管理者向けガイドライン(日本)

カレントアウェアネス-E

No.97 2006.12.20

 

 E584

違法・有害情報に対するサーバ管理者向けガイドライン(日本)

 

 インターネット上には,違法情報や公序良俗に反するとされる情報が氾濫していると指摘される。このような情報への対処として,サーバや掲示板の管理者による適切かつ敏速な対応が,社会的に期待されている。だが違法情報の定義や対処の方法,手続き,さらに対処後の法的責任など,解決すべき問題は少なくない。

 総務省は2006年8月,インターネット上の違法・有害情報に対し,行政の支援を前提とした,プロバイダや電子掲示板の管理者,利用者等による自主的な対応を促進する提言を行なった(E452E538参照)。これを受けて社団法人電気通信事業者協会,社団法人テレコムサービス協会,社団法人日本インターネットプロバイダー協会,および社団法人日本ケーブルテレビ連盟の4団体は,総務省の支援を受け,インターネット上の違法・有害情報に対する自主的対応策をまとめ,2006年11月に「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」として公表した。

 現状では,他人が流通させた違法な情報を,掲示板やサーバ管理者が送信防止措置を講じても,必要な限度であれば法的責任は問われない。だが情報が違法でない場合,および違法であっても必要な限度を超えた場合の送信防止措置には,管理者が法的責任を問われる可能性が残されており,その有無は裁判所の判断にゆだねられることになる。そこで本ガイドラインでは,具体的事例に即して違法情報に対する考え方を整理して,手続きを整備し,敏速・的確に送信防止措置が行なえるよう,解説が加えられている。

 なお,このガイドラインでは,発信者・受信者側の対応には具体的に言及されていないが,図書館も,利用者へのインターネットサービスの提供等の形でインターネット上の情報の流通に関わっており,このような動きは注視しておくに値しよう。

Ref:
E452
E538
http://www.telesa.or.jp/consortium/pdf/20061127guideline.pdf
http://www.telesa.or.jp/consortium/pdf/20061127model.pdf
http://www.telesa.or.jp/consortium/Illegal_info/20061127.htm
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/061127_4.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060825_6.html