カレントアウェアネス-E
No.77 2006.02.15
E452
インターネット上の違法・有害情報への対応 <文献紹介>
総務省. インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会 中間取りまとめ. 2006.1. 22p. (オンライン), 入手先 < http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060126_1.html >, (参照2006-02-03).
米国では,図書館へのフィルタリングソフト導入の圧力が高まっている(CA1572参照)が,一方日本における議論はどの段階だろうか? IT安心会議では,インターネット上の違法・有害情報への対策として,(1)フィルタリングソフトの普及,(2)プロバイダ等による自主規制の支援,(3)モラル教育の充実をあげている。総務省の研究会では,2点目のプロバイダや電子掲示板の管理者の自主的な対応とその効果的な支援のあり方について2005年8月から検討し,2006年1月に中間取りまとめを公開した。
取りまとめでは,電子掲示板の管理者等が実施できる対応の限界を踏まえ,違法・有害情報を放置した場合,送信防止措置を行った場合のそれぞれについて,法的な責任範囲を提示している。また,電子掲示板の管理者等が送信防止措置を行うにあたっては,専門的知見,経験等を有する警察等の法執行機関が違法性の判断を行い,適正な手続きをとって管理者等を支援する仕組みが必要であると指摘している。違法ではないが公序良俗に反する情報についても,適切な団体が一定の指針を示すことで,管理者等の自主的対応を支援することが適当であるとした。
研究会の前半では,情報流通の場であるプロバイダや電子掲示板の管理者への対応について中心的に検討が行われたが,情報の発信者側,受信者側への対応についても組み合わせて検討することが必要不可欠であるとされた。今後の研究会ではプロバイダによるフィルタリングサービスの提供の在り方が検討される予定である。その他,プロバイダ責任制限法における発信者情報の開示,インターネットの匿名性,海外のサーバ等を利用した情報発信等の論点についても引き続き検討し, 2006年7月を目途にインターネット上の違法・有害情報への対応に関する総合的な考え方を提示する予定である。
Ref:
http://www.it-anshin.go.jp/
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/kettei.pdf
CA1572