カレントアウェアネス-E
No.90 2006.09.06
E538
インターネット上の違法・有害情報への対応:最終報告書が公表される(日本)
インターネット上の違法・有害サイトへの対策として,総務省の研究会ではプロバイダや電子掲示板の管理者の自主的な対応とその効果的な支援のあり方について2005年8月から検討し,2006年1月に中間取りまとめを公開した(E452参照)。その後も中間報告では検討課題とされていたプロバイダによるフィルタリングサービスの提供の在り方,プロバイダ責任制限法における発信者情報の開示,インターネットの匿名性,海外のサーバ等を利用した情報発信等の論点について検討が重ねられた。2006年7月には最終報告書案の公表とパブリックコメントの募集が行なわれ,2006年8月25日に最終報告書が総務省から公開された。
今回の最終報告書ではまず,フィルタリングサービスの認知度・普及率が低水準にとどまることが報告され,普及啓発活動の推進と利用者ニーズにもとづくサービスの改善が提言された。またプロバイダ責任制限法における発信者情報の開示について,課題の整理が行なわれ,ガイドラインの策定も提言された。一方でインターネットの匿名性については,匿名性を完全に除去するのは困難であるとされ,電子掲示板の管理者等による自主的取組やフィルタリングサービス,発信者情報開示サービスによる匿名性の排除に一定の限界が存在することを認めている。同様に海外サーバーからの情報発信についても,日本のプロバイダ等が有効に対処できなかったり,法律が異なるため設置国の捜査機関との国際連携が困難であるなどの問題点を指摘している。
報告書はこれらの検討結果をふまえ,インターネット上の違法・有害情報に対しては,行政の支援を前提として,プロバイダや電子掲示板の管理者,利用者等による自主的な対応を促進するよう提言している。
Ref:
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060825_6_1.pdf
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060825_6.html
E452