カレントアウェアネス-E
No.59 2005.06.01
E333
著作権法の権利制限規定の見直しをめぐる動き(米・豪)
デジタル技術やデジタルメディアの普及を踏まえて,図書館等における複製や公正使用など著作権法の権利制限規定のあり方を見直そうとする動きが進行している。カナダの著作権法改正の動向についてはE319で紹介したが,ここでは米国とオーストラリアの動きを紹介する。いずれもデジタルメディア特有の問題に対応し,著作者の権利の保護と著作物の利用との間に適切なバランスを見出そうとするものである。
米国では,著作権法第108条(排他的権利の制限:図書館および文書館による複製)のあり方を検討する「第108条研究グループ」が結成され,4月14日〜15日に米国議会図書館(LC)で初会合が持たれた。このグループは,LCの全米デジタル情報基盤整備・保存プログラム(NDIIPP;CA1502参照)が著作権局と協力して設置したもので,研究成果と提言を2006年中ごろまでにLCの館長に提出する。図書館関係者や出版関係者など19名から構成されている。
一方,オーストラリアでは,著作権制度を所管する連邦の法務総裁府(Attorney-General’s Department)が,著作権法の公正使用の規定(第40条〜43条,103A条〜103C条)の見直しについて論点整理した報告書を5月に発表した。国民の意見を踏まえて,改正の是非を検討するとしている。
Ref:
http://www.loc.gov/today/pr/2005/05-121.html
http://www.ag.gov.au/agd/WWW/MinisterRuddockHome.nsf/Page/
http://www.ag.gov.au/agd/WWW/agdhome.nsf/0/
E319
CA1502