E334 – 統計からみた学校図書館の深刻な実態(カナダ)

カレントアウェアネス-E

No.59 2005.06.01

 

 E334

統計からみた学校図書館の深刻な実態(カナダ)

 

 今の予算では百科事典を1セット買うぐらいしかできない。カナダ統計局は,5月4日,同国における学校図書館の深刻な実態(E103参照)を浮き彫りにする統計調査報告書を発表した。これは,2003年度に全国規模で行われた学校における情報コミュニケーション技術(ICT)の実態調査から,学校図書館関連部分の結果を分析したもので,全州の小中高等学校約6,700校からのデータを基にしている。

 報告書によると,93%が図書館を備えており,資料費の総計は5,620万カナダドル(約48億円)にのぼるが,1校あたりの支出の中央値は2,000カナダドル(約17万円)で,電子資料もほとんど購入していない。情報が基盤となる時代にあって,このような低予算が,児童・生徒のニーズに応える図書館の活動に制約を課すことになっていると指摘している。

 また,フルタイムの司書教諭を置いているところは4校に1人の割合と少なく,近年の予算削減のあおりを受けてコストのかかる司書教諭の雇用は抑制される傾向にあると分析している。ただ,今回の結果からは,他の調査で指摘されているような,児童・生徒の成績と図書館との相関関係(E260参照)は明確には見られなかったものの,司書教諭の存在と表計算ソフトやDTPソフトなどICT技術を授業に取り入れている割合との間には強い相関関係があることが明らかとなった。

Ref:
http://www.statcan.ca/Daily/English/050504/d050504a.htm
http://www.statcan.ca/english/research/81-595-MIE/81-595-MIE2005028.pdf
http://milch.cocolog-nifty.com/slshock_top/2005/05/post_0952.html
E103
E260