E279 – ウェブ・アーカイビングをめぐる国際会議 <報告>

カレントアウェアネス-E

No.50 2004.12.15

 

 E279

ウェブ・アーカイビングをめぐる国際会議 <報告>

 

 11月9日から11日にかけて,ウェブ情報の収集,保存をテーマにした国際会議”ARCHIVING WEB RESOURCES”がオーストラリア国立図書館で開催された。3日間で延べ35人のスピーカーが発表を行い,21か国の代表200名あまりが参加した。

 初日は,ウェブ・アーカイビング(CA1537参照)における国際協力,とくに日本を含む東南アジア諸国の参画の重要性を強調したオーストラリア国立大学副学長マルコム・ギリーズ氏の基調講演の後,科学文献,映像,音楽,地図,博物学資料,ネットワーク・アートなどの製作者が,ウェブでいま何が起こっているのかを報告した。約500テラバイトのデータを利用者の検索要求に従ってパーソナライズして提供するオーストラリア地球科学(Geoscience Australia)のウェブ・マスターや,スクリプトを駆使し,かつCPU性能やネットワークの規格の特性を利用した動的なサイトを作成しているクリエーターらによる事例紹介から,現在のアーカイビング技術では収集,保存することのできない情報がいかに膨大かが明らかになった。

 2日目は,「インターネット全体」(インターネット・アーカイブ),「国内全体」(スウェーデン王立図書館),「選択的」(オーストラリア国立図書館),「テーマ別」(米国議会図書館)という異なるアプローチによるアーカイビングの実例の紹介とパネル・ディスカッション。一括収集における品質維持のむずかしさ,選択的収集において収集物がウェブというコンテクストから乖離してしまう問題などが浮き彫りになった。最終日には,各国間および機関間の協働の現状と今後の課題についての発表と討議が行われたが,欧米に比してアジア諸国の協働の不在が目立った。

(報告:原田久義)

Ref:
http://www.nla.gov.au/webarchiving/
CA1537