E280 – 韓国国立中央図書館の最新動向 <日韓業務交流開催報告>

カレントアウェアネス-E

No.50 2004.12.15

 

 E280

韓国国立中央図書館の最新動向 <日韓業務交流開催報告>

 

 2004年10月11日から18日まで,国立国会図書館から代表団3名が訪韓し,韓国国立中央図書館との間で第8回日韓業務交流が行われた。今回のメインテーマは「国立図書館の将来」,サブテーマは「デジタル情報資源の収集・保存」であった。日韓双方から報告が行われ,質疑,意見交換が行われた。

 韓国国立中央図書館からは,図書館政策業務が文化観光部より移管されることが決定し,国の図書館政策を策定して推進するための準備を進めていること,また,業務移管に伴う新たな機能に沿って,効率的に業務を遂行するための組織改編が検討されていることが報告された。具体的には,図書館関連の調査研究と政策業務遂行のための図書館企画政策部署の新設(図書館政策課),主題専門分野のレファレンス機能遂行のための部署の新設(主題情報課),また,教育訓練機関としての機能を強化し,主題専門司書を育成するために,司書研修館の拡充を図る,というものである。業務移管,組織改編は11月18日に実施された。

 また,1999年に分館を再編して作られた学位論文館を児童・青少年図書館に改編するための準備が進められている。これは,国内学位論文サービスが韓国教育学術情報院,国会図書館,各大学ほか複数機関で提供されているため,重複サービスによる浪費を削減し,児童・青少年向けの納本資料の活用と,利用に対するニーズに応えようとするものである。

 さらに,情報化時代に適合した知識情報体系の変化を考慮し,国家知識情報センターとしての役割の遂行を目的とした,国立デジタル図書館の建設を推進している。韓国国立中央図書館の正面広場に延面積11,500坪(地上3階,地下4階)の建物を建設する予定で,2008年の開館を目指している。

 なお,今回の業務交流の詳細は『国立国会図書館月報』1月号で報告される予定である。

(報告:戸澤幾子)

Ref:
(新組織図:日本語) http://www.nl.go.kr/nlja/nlja1_03.htm