E1817 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2016/7/10現在)

カレントアウェアネス-E

No.307 2016.07.14

 

 E1817

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2016/7/10現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1797ほか参照)に続き,2016年4月上旬から2016年7月上旬までの主な情報をまとめた。

●被災地の図書館等の活動

 4月16日,岩手県立図書館が,同館の東日本大震災情報ポータルの関連資料目録に,ブックリスト「5年目の3.11~震災関連資料コーナーの資料から~」を掲載した。
https://www.library.pref.iwate.jp/books/booklist/list/201602_ex_sinsai.html

 4月28日,図書館共同キャンペーン「震災記録を図書館に」が,震災の発生から5年を迎えた図書館(岩手県立図書館,福島県立図書館及び東北大学附属図書館の3館)が所蔵する震災関連の資料目録(2016年3月11日現在)を公開した。
http://www.library.tohoku.ac.jp/shinsaikiroku/index.html
http://www.library.tohoku.ac.jp/shinsaikiroku/iwatepref-toshochirashi.pdf
http://www.library.tohoku.ac.jp/shinsaikiroku/iwatepref-zasshi.pdf
http://www.library.tohoku.ac.jp/shinsaikiroku/iwatepref-audiovisual.pdf
http://www.library.tohoku.ac.jp/shinsaikiroku/fukushimapref.pdf
http://www.library.tohoku.ac.jp/shinsaikiroku/tohokuuniv.pdf

 7月2日,岩手県の山田町が復興計画の中で商業・業務施設の集積地として位置づけた「復興拠点エリア」に複合施設「山田町ふれあいセンター」がオープンし,施設内に入居する山田町立図書館も開館した。
http://www.town.yamada.iwate.jp/kouhou/H28/6-1/10.pdf
http://www.suntory.co.jp/news/article/12599.html
http://www.reconstruction.go.jp/portal/chiiki/2016/20160401183326.html

●デジタルアーカイブに関する動き

 4月15日,首都大学東京渡邉英徳研究室と岩手日報社が共同で制作した,地震・津波の犠牲者の避難行動を可視化したデジタルアーカイブ「忘れない~震災犠牲者の行動記録」の英語版である“We Shall Never Forget”: Last Movements of Tsunami Disaster Victimsの公開が発表された。
http://iwate.mapping.jp/index_en.html
http://www.iwate-np.co.jp/311shinsai/koudou/koudou_top.html

 5月27日,岩手県が,震災津波関連資料に関するデジタルアーカイブ「岩手県震災アーカイブ(仮称)」の構築と運用保守業務に係る一般競争入札を公告した。
http://www.pref.iwate.jp/nyuusatsu/it/045564.html

●記録を残す活動・伝える活動

 2月16日から4月30日まで,Wiley社が,東日本大震災に関する23本の英語論文を無料公開した。
http://news.wiley.com/311GlobalJapan
http://news.wiley.com/311Global
http://www.wiley.co.jp/blog/pse/?p=34064

 3月10日,Springer社は,災害・防災に関する世界中の研究を網羅的に集めたウェブサイト“Coping with Disaster – Future Directions”を公開し,3月11日から4月29日まで,収集した論文を全て無料公開した。
http://www.springer.com/jp/marketing/coping-with-disaster
http://www.springer.com/jp/about-springer/media/press-releases/japan-press/news-from-tokyo/7819226

●展示

 1月15日から5月18日まで,兵庫県立図書館で,阪神・淡路大震災と東日本大震災に関する資料を展示する企画展「本から学ぶ防災」が開催された。
http://www.library.pref.hyogo.lg.jp/event/tenji/shiryotenji.html#kikakutenji
http://www.library.pref.hyogo.lg.jp/event/event2015/tenjikanren201507.html

 2月27日から4月6日まで,福島県立図書館で展示「東日本大震災5年展~あのとき そして これから~」が開催された。
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/event/tenji/28_2_shinsai5nen.html
https://www.library.fks.ed.jp/ippan/library/kankobutsu.files/tayori198.pdf

 2月19日から4月10日まで,岩手県立図書館で,同館に常設されている「震災関連資料コーナー」の資料のほか,岩手県沿岸の人々の歩みを,海に関する所蔵古文書及び近代の津波災害に関する資料で振り返る企画展「5年目の3.11~震災関連資料コーナーの資料から~」が開催された。
https://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/kikakuten/20160219_sinsai.html

 2月25日から4月14日まで,千葉県立東部図書館で,展示「防災・震災―大切な命を守るために―」が開催された。
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/information/east/post_76.html

 3月1日から4月16日まで,山形県立図書館で,企画展示「3.11を忘れない」が開催され,東日本大震災及び福島原子力災害関係の資料600点や「避難者向け借上げ住宅」関係行政資料が展示された。
https://www.lib.pref.yamagata.jp/files/attach/files688_1.pdf

 3月1日から5月31日まで,公益社団法人全国市有物件災害共済会が運営する防災専門図書館において,企画展「東日本大震災から5年~資料からみた復興への途上~」が開催された。
http://www.city-net.or.jp/library/archives/1566
http://www.city-net.or.jp/library/files/2016/02/78ceadd4f19dfae666dff1ff0a0237f8.pdf
http://www.city-net.or.jp/library/archives/1820

 3月7日から4月1日まで,福島県いわき市の福島工業高等専門学校附属図書館で,特別写真展「東日本大震災といわきの文化遺産-大切なものを守り,伝えること-」が開催された。
https://www.facebook.com/531420180300292/posts/853867501388890

 3月8日から4月4日まで,横浜市立中央図書館で,「東日本大震災関連企画展示「震災から5年」」が開催された。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/event/bunsche/201603.html
http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/bunka/harucam/2016/chirashi2016haru.pdf

 3月11日から6月24日まで,宮城県図書館で,企画展「東日本大震災文庫展Ⅵ  いつまでもわすれないために 未来へ伝える記憶と記録」が開催された。
http://www.library.pref.miyagi.jp/latest/events/entertainments/692-201603moyooshi.html#tenji
http://www.pref.miyagi.jp/release/ho20160309-6.html
http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/348159.pdf

 3月18日から4月5日まで,仙台市の宮城球場(楽天Koboスタジアム宮城)の外に設置されたドーム施設「イーグルスドーム」で,株式会社楽天野球団(東北楽天ゴールデンイーグルス)と福井県立恐竜博物館,株式会社東急ハンズの共催により,東日本大震災から5年を迎えることから,「不滅のパワーを復興に」をスローガンに「「“ふくいの恐竜たち”がやってくる!」~恐竜の不滅のパワーをKoboスタ宮城で受け取ろう~」と題した展示,イベントが開催された。恐竜の全身骨格標本や触れる実物化石などの展示と,ドームの天井に映像を投影する「ダイノシアター」などのイベントが開催された。
http://www.rakuteneagles.jp/news/detail/6104.html
http://www.dinosaur.pref.fukui.jp/museum/press/20160303.html

 3月22日から5月13日まで,公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所の付設機関で,都市問題・地方自治に関する専門図書館である市政専門図書館で,東日本大震災関連資料の展示会が開催された。
http://www.timr.or.jp/news/東日本大震災関連資料展示会図録.pdf

 5月28日から7月3日まで,福島県白河市の福島県文化財センター白河館まほろんで,ふくしま震災遺産保全プロジェクト実行委員会及び公益財団法人福島県文化振興財団により,ふくしま復興展「震災遺産と文化財」が開催された。この展示は,震災遺産が文化財保護と同様の視点から保護されるべきものであることを伝え,文化財保護の意義を再認識することを目的としたものである。
http://www.mahoron.fks.ed.jp/bosyu/2016_shinsaiisan_tenji.htm
http://www.mahoron.fks.ed.jp/bosyu/image1/2016_shinsaiisan_tenji/shinsaiisan.pdf

 6月4日から7月4日まで,山梨県立博物館で,岩手県陸前高田市で行われた,東日本大震災で被災した文化財のレスキューや,海水による損傷を受けた資料の応急処置・修復技術について,処置が行われた資料約100点とともに紹介する,シンボル展「よみがえる,ふるさとの宝たち―3.11被災資料の再生―」が開催された。
http://www.museum.pref.yamanashi.jp/5th_tenjiannai_symbol_032.html

●イベント,講演会,講習会,研究会など

 5月14日,福島市の福島県文化センターで,地方史研究者及び地方史研究団体の学会である地方史研究協議会により,被災地における歴史や文化の継承の取組の現状と課題を扱うシンポジウム「大震災からの復興と歴史・文化の継承」が開催された。
http://chihoshi.jp/symposium13.html

 6月25日,東京都の駒澤大学駒沢キャンパスで,「被災史料・震災資料の保存利用と公文書管理」をテーマとし,日本歴史学協会・日本学術会議史学委員会により,「史料保存利用問題シンポジウム2016」が開催された。
http://www.jsas.info/modules/news/article.php?storyid=264

●刊行物

 『出版ニュース』2409号(2016年4月上旬号)が,長岡義幸氏の「ブック・ストリート 流通 震災時の書店支援にかかわる疑問」の記事を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027210842-00

 『情報管理』59巻2号(2016年5月)が,今村文彦氏の「東日本大震災のアーカイブ「みちのく震録伝」の立ち上げと今後」の記事を掲載した。
http://doi.org/10.1241/johokanri.59.123

 『月刊IM』543号(2016年4月)が,鈴木均氏の「時代のニーズに対応した文書情報マネジメントを紹介 浦安市立図書館における「浦安震災アーカイブ」の構築」の記事を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027430049-00

 『専門図書館』277号(2016年5月)が,特集「東日本大震災から5年 図書館の復興と震災資料アーカイブの取組み」を掲載した。
http://www.jsla.or.jp/publication/bulletin/no277/

 『子どもの文化』48巻5号(2016年5月)が,鎌倉幸子氏の「ゼロから図書館を作る : 難民キャンプから震災後の東日本での移動図書館活動」の記事を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027312133-00

 『歴史評論』794号(2016年6月)が,阿部浩一氏の「歴史資料の保全・活用と地域社会 : 福島県での歴史資料保全活動を通じて」の記事を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027427940-00

 『博物館研究』576号(2016年6月)が,中川寧氏の「平成27年度研究協議会テーマ2「東日本大震災から5年 : 被災地域博物館の現状と今後」に参加して」の記事を掲載した。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I027453959-00

 『国立国会図書館月報』662号(2016年6月)が,2016年1月11日に東北大学災害科学国際研究所で開催された「平成27年度東日本大震災アーカイブ国際シンポジウム 地域の記録としての震災アーカイブ~未来へ伝えるために~」についての記事を掲載した。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9979212

●被災地を支援する活動

 5月10日,第62回青少年読書感想文全国コンクール課題図書出版社と公益社団法人全国学校図書館協議会は,東日本大震災被災地への支援事業の一環として岩手県・宮城県・福島県の小・中・高等学校,中等教育学校,義務教育学校,特別支援学校を対象に同コンクールの課題図書を寄贈することを発表した。また,6月1日に寄贈先を発表した。
http://www.j-sla.or.jp/contest/youngr/62thkansoubun-youkou.html
http://www.j-sla.or.jp/news/sn/post-25.html
http://www.j-sla.or.jp/pdfs/62kadaitosyo-kizousaki.pdf
http://www.j-sla.or.jp/news/sn/

関西館図書館協力課調査情報係