E1328 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2012/8/22現在)

カレントアウェアネス-E

No.221 2012.08.23

 

 E1328

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2012/8/22現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,『カレントアウェアネス-E』での既報に続き,2012年7月上旬から8月中旬にかけての主な情報をまとめた(E1155E1161E1166E1172E1177E1205E1222E1248E1263E1274E1302参照)。

●被災地における図書館等の再開・設置

 2012年7月10日,宮城県南三陸町に,2,000冊の図書を備えた仮設図書館「歌津コミュニティ図書館・魚竜」がオープンした。同町の歌津公民館は津波によって被災し,その中に設置された図書室の蔵書が流出していた。

 宮城県図書館は,6月1日から7月2日まで,臨時休館して災害復旧工事を行っていた。再開後は8月末まで特別展「3.11漫画家の祈りと激励展―東日本大震災文庫展II―」を開催している。

 7月11日,福島県飯舘村で全国から寄贈された絵本の除染作業が始まった。図書館が設置されていない同村が2010年5月から寄贈を求め,震災直前には約6万冊が集まっていたものである。10月には県内9か所の仮設住宅を巡回する移動図書館サービスが開始される。

 7月28日,宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館が1年4か月ぶりに一部開館した。 2013 年4月の全面開館時には常設展「東日本大震災の記録と津波の災害史」を開始する予定である。

●支援活動

 被災紙資料の復旧支援を行う「東京文書救援隊」が,発足から1年間の活動報告を6月27日付けのブログに掲載している。当初は1年間を活動の目途としていたが,要請に応えて2年目も活動を継続すると表明している。

 7月1日,仮設図書館の開館準備をしている岩手県陸前高田市立図書館に対して,「東北復興のためのイタリア人会」より,移動図書館用のマイクロバス1台が寄贈された。11日から運行が開始された。

 7月18日,国立公文書館は,岩手・宮城・福島県を対象に,2012年度被災公文書等修復支援事業の実施を発表した。7月17日に岩手県大船渡市で開始され,9月3日からは宮城県石巻市と女川町での実施が予定されている。

 7月30日,「いわてを走る移動図書館プロジェクト」を実施している公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が,9月頃に福島県南相馬市および山元町で移動図書館を開始すると発表した。また同日,ブックオフコーポレーションが,同会への1千万円の寄付や,被災3県の小学校177校に「課題図書」12タイトルの寄贈を行うプロジェクト“BOOKS TO THE PEOPLE 2012”の実施を発表した。

●記録を残す活動

 7月1日,宮城県仙台市のせんだいメディアテークによる東日本大震災アーカイブ活動「3がつ11にちをわすれないためにセンター」が英語版サイトを公開した。

 米国ハーバード大学がInternet Archiveや国立国会図書館(NDL)等の機関と連携して進めている「2011東日本大震災デジタルアーカイブ」のベータ版が公開された。

 7月から,宮城県東松島市図書館は,図書館振興財団から助成を受けて,市民の被災体験を撮影して保存する「ICT地域の絆保存プロジェクト」を実施している。震災後にやりとりされたメールや避難所でのチラシ等の収集も行う。

 8月14日,ふくしま歴史資料保存ネットワークが,救出した歴史資料をデジタルカメラで撮影するボランティアの募集を開始した。9月6日と7日に作業が行われる。

●イベント・報告書・雑誌記事

 7月1日,東京および大阪で「saveMLAK報告会2012~社会教育・文化施設の救援・復興支援~」が開催され,それぞれ活動報告や討論等が行われた。

 8月20日~24日にオーストラリアのブリスベンで開催された第17回国際公文書館会議(ICA)大会では,日本の参加者から震災関連の発表もなされた。

 刊行物では,文部科学省が「東日本大震災からの復旧・復興に関する文部科学省の取組についての検証結果のまとめ(第二次報告書)」を公表し,経済産業省「平成23年情報処理実態調査」報告書や総務省「平成24年版情報通信白書」でもテーマのひとつとして東日本大震災が扱われている。また,全国歴史資料保存利用機関連絡協議会『記録と史料』第22号および『会報』第91号,国立公文書館『アーカイブズ』第47号,宮城県考古学会『宮城考古学』第14号,『薬学図書館』57巻3号等で震災特集が組まれている。

(関西館図書館協力課調査情報係)

Ref:
http://www.47news.jp/localnews/hotnews/2012/07/post-20120706123127.html
http://www.library.pref.miyagi.jp/oshirase/index.html#5
http://mainichi.jp/select/news/20120713mog00m040018000c.html
http://www.riasark.com/modules/news/article.php?storyid=100
http://toubunq.blogspot.jp/2012/06/2.html
http://www.47news.jp/localnews/iwate/2012/07/post_20120702081537.html
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/kategorie/kyouiku-sports/syougai-gakusyuu/tosyokan/idou-tosyokan/idou-tosyokan.html
http://www.archives.go.jp/top/120718_01.html
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000005053.html
http://www.bookoff.co.jp/files/ir_pr/2c/PR-14.pdf
http://recorder311-e.smt.jp/
http://beta.jdarchive.org/
http://www.sanriku-kahoku.com/news/2012_07/i/120727i-taikendan.html
http://blog.ap.teacup.com/fukushimanet/94.html
http://savemlak.jp/wiki/saveMLAK:Event/20120701
http://www.ica2012.com/program/full-papers.php
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1323699.htm
http://www.meti.go.jp/press/2012/07/20120718001/20120718001.html
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000042.html
http://www.jsai.jp/kanko/kaisi/kaisi22.html
http://www.jsai.jp/kanko/kaiho/kaiho91.html
http://www.archives.go.jp/about/publication/archives/047.html
http://www.k5.dion.ne.jp/~mkouko/kaishi14.html
http://www.yakutokyo.jp/kikanshi/search/57/3/2012