カレントアウェアネス-E
No.210 2012.02.23
E1263
東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2012/2/22現在)
東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,『カレントアウェアネス-E』での既報(E1155,E1161,E1166,E1172,E1177,E1205,E1222,E1248参照)に続き,2012年1月から2月中旬にかけての主な情報をまとめた。
●支援活動・被災地図書館の状況
2012年1月6日,宮城県名取市で「名取市図書館どんぐり子ども図書室」がオープンした。saveMLAKや日本ユニセフ協会の支援を受け,東海大学の震災復興応急住宅モデル「どんぐりハウス」を採用して建設された。
2月5日には,「いわてを走る移動図書館プロジェクト」を実施するシャンティ国際ボランティア会が,岩手県大槌町に「かねざわ図書室」を開設した。小説・実用書・子ども向けの本など5,000冊以上を備えている。
福島県立図書館は,全面開館に向けて,2月1日から5月20日まで復旧工事を行っている。同館は2011年7月に部分開館していたが,空調機能や照明に問題があり,また,資料出納の際に職員がヘルメットを装着する必要があるとのことである。
saveMLAKのウェブサイトに,有志による「本を送りません宣言」(仮称)が1月17日付けで掲載された。被災地で大量の寄贈図書を受け取って対処に困っている事例を目にしたことを踏まえて,古本も新本も送らないことを宣言している。あわせて「それでも『本を送る』際の目安10ヶ条」も掲載されている。
日本図書館協会(JLA)が,1月19日と20日に開催した第33回図書館建築研修会「東日本大震災に学ぶ」で使用された同題のテキストを刊行した。JLA施設委員会による現地調査報告や被災地からの報告,今後の対策等が書かれている。
また,JLAは,「Help-Toshokanツアー“東北を知ろう~岩手県沿岸部を巡る2泊3日~”」と題し,1月21日から23日にかけて,岩手県立図書館,宮古市立図書館,山田町立図書館等を訪問するツアーを開催し,合計21名が参加した。続いて3月初旬には宮城県を訪れるツアーが行われる。
●イベント・展示
1月11日,仙台市で「『東日本大震災アーカイブの最前線と国境・世代を超えた挑戦』~東日本大震災アーカイブ国際合同シンポジウム~」(E1258参照)が開催され,官・民・学の各機関から震災アーカイブに関する取組について報告がなされた。
宮城県図書館が,2月11日から7月20日にかけて,特別展「絆の証し―東日本大震災文庫展―」を開催している。その中では,同館が受けた支援や寄贈資料のほか,避難所の申し送り帳や店舗再開のお知らせといった被災地の状況や復旧の過程をたどる資料が紹介されている。
岩手県遠野市の遠野文化研究センター(E1210参照)等が,レスキューされた東北の被災文化財120点を集めた展示「震災からよみがえった東北の文化財展」を,2月26日~3月11日に東京都立中央図書館で,3月16日~28日に遠野市立博物館で開催する。
その他,福島県白河市立図書館,千葉県立中央図書館,神奈川県立図書館,大阪府立中央図書館,兵庫県立図書館,徳島県立図書館,鳥取県米子市立図書館,佐賀県立図書館等,数多くの図書館で震災をテーマとした展示が開催されている。
Ref:
http://yokohamalab.jp/blogs/fukkou/1474
http://sva.or.jp/iwate/staff_blog/201201/post-51.html
http://www.library.fks.ed.jp/ippan/fukyu_zyoukyou_houkoku.html
http://www.library.fks.ed.jp/ippan/nyuusatu/pdf/23nyuusatu_kekka_fukyuukouzi.pdf
http://savemlak.jp/wiki/%E6%9C%AC%E3%82%92%E9%80%81%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E5%AE%A3%E8%A8%80
http://www.jla.or.jp/home/earthquake/tabid/411/Default.aspx
http://www.library.pref.miyagi.jp/oshirase/index.html#6
http://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/1,20123,c,html/20123/TonoCity_120130-Press0200.pdf
http://www.library.pref.hyogo.jp/event/tenji/tenji201203.pdf
E1210
E1258