E1273 – 第8回レファレンス協同データベース事業フォーラム<報告>

カレントアウェアネス-E

No.211 2012.03.08

 

 E1273

第8回レファレンス協同データベース事業フォーラム<報告>

 

 2012年2月27日,第8回レファレンス協同データベース事業フォーラム(E1030E1154参照)が,「レファレンス協同データベース事業のNext Step:人の輪が生みだすレファ協の未来」をテーマとして,国立国会図書館(NDL)関西館で開催された。このフォーラムは,専門家の講演,参加館の実践報告等を通じて事業への認識を深め,併せて関係者相互の情報交換,交流の場とすることを目的として毎年開催されているものである。

 午前の部では,NDLからの2011年度事業報告に続き,羽衣国際大学人間生活学部の谷本達哉准教授から「Linking Everyone to Everybody:人の輪をつなげる・ひろげる―国立国会図書館レファレンス協同データベース事業,現状からの展開―」と題した基調講演が行われた。講演では, レファレンス協同データベース(以下「レファ協」)の現在の事業展開が図書館(=データの生産)の視点に偏っていて,利用者(=データの利用)の視点が少ないという現状分析とともに,社会的に広く利用されるデータベースとしての事業展開を進める,レファ協を社会の調べ物サービスのための枠組みとして位置づける,といった提言がなされた。

 午後の部では,東京都立中央図書館の神林秀樹氏,近畿大学中央図書館の寺尾隆氏,茨城県立歴史館の坂本幸子氏から,実践報告が行われた。神林氏からは東京都立中央図書館におけるレファレンス事例データベースについて,寺尾氏からは,ガイダンスへの活用等,有用な情報が整理されているレファ協の「調べ方マニュアル」の持つ可能性についての発表があった。また,坂本氏からは文書館機能・博物館機能を持ち合わせた歴史館の中での情報共有や,東日本大震災により休館を余儀なくされたことを逆にレファ協へのデータ登録に取り組む機会とポジティブにとらえて登録を進めていったことなどについての報告があった。

 実践報告に引き続き,秋田県立図書館の山崎博樹氏をコーディネーターに,谷本准教授,専門図書館協議会事務局長の鈴木良雄氏,京都府立高等学校図書館協議会司書部会司書部長の清水都氏,同部会レファ協担当の香西瑠衣氏,(株)リクルートドクターズキャリアの島津英昌氏(レファ協サポーター)をパネリストに迎えて,パネルディスカッションが行われた。

 パネルディスカッションでは,まず鈴木氏から「レファ協活用術~専門図書館の場合」と題して専門図書館協議会としてのレファ協への試験参加について,清水氏・香西氏から「京都府立高等学校図書館協議会司書部会の取組み」と題して同部会のレファ協への実験参加についてミニ報告が行われた。続くディスカッションでは,レファ協の現在の課題やこれから目指すべきビジョン,レファ協で様々な立場の人々が繋がるにはどうしたらよいか,などについて活発な議論が行われた。会場からは,「コメント欄の一般開放について」「公開レベルを上げるための方策」などについての質問が出た。

 基調講演,様々な館種からの実践報告,そしてパネルディスカッションでの意見交換は,参加者にとって刺激になったのではないだろうか。

 なお,本フォーラムは,レファ協サポーターの協力を得て,インターネットを通じても中継された。また,Twitterで中継を行い(ハッシュタグ“#crdf2012”),インターネット上でも意見交換が行われた。

(関西館図書館協力課・レファレンス協同データベース事業事務局)

Ref:
http://crd.ndl.go.jp/jp/library/forum_8.html
http://togetter.com/li/264502
E1030
E1154