E1030 – 第6回レファレンス協同データベース事業フォーラム<報告>

カレントアウェアネス-E

No.167 2010.03.10

 

 E1030

第6回レファレンス協同データベース事業フォーラム<報告>

 

 2010年2月17日,第6回レファレンス協同データベース事業フォーラムが,「日常業務の中のレファレンス協同データベース ―「特別」から「当たり前」へ―」をテーマとして,国立国会図書館東京本館で開催された。このフォーラムは,レファレンス協同データベースを利用した各館の取組みとその効果を紹介し,今後の図書館界において本事業が果たすべき役割を探るとともに,関係者相互の情報交換,交流の場とすることを目的として毎年開催されているものである。

 午前の部では,長尾真・国立国会図書館長による開会挨拶と礼状授与式,国立国会図書館からの平成21年度事業報告に続き,原田智子・鶴見大学教授から「デジタル時代のレファレンスサービス-レファレンス協同データベース事業のノウハウを効果的に活用するために-」と題し,デジタル時代のレファレンスサービスの特色や,レファレンス協同データベースの活用の可能性について,基調講演が行われた。

 午後の部では,埼玉県立久喜図書館の伊藤仁氏,横手市立平鹿図書館の遠藤博巳氏,愛知学院大学図書館情報センターの千邑淳子氏から,それぞれレファレンス協同データベースに関する業務体制などについての実践報告が行われた。伊藤氏からは県立3館体制の中での分担や共通の入力マニュアルなどについて,遠藤氏からは「1日1件」を目標に「遊び心を持って」の事例登録の取組などについて,千邑氏からはサービスポイントが複数に分かれている中でのレファレンス協同データベースを利用した情報共有などについての報告があった。

 その後,小田光宏・青山学院大学教授をコーディネーターに,原田教授,伊藤氏,遠藤氏,千邑氏をパネリストに迎えて,パネルディスカッションが行われた。ディスカッションでは,「日々作る」「日々使う」「日々伝える」という3つの着眼点のもと,レファレンス協同データベースの日常的な利用方法について意見が出された。会場からは,「レファレンス協同データベースと県域でのレファレンス事例集との棲み分けについて」「レファレンスの技術の継承についてどう考えたらよいか」「登録事例のメンテナンスはどの程度行えばよいのか」といった質問や,「レファレンス協同データベースを研修に利用するなどの図書館での活用は無理に考えなくてもよいのでは」「Web情報源の判断基準について,図書館員が価値のあるものを紹介するところまで踏み込んで欲しい」といった意見が出され,活発な議論が行われた。

 基調講演で語られたレファレンスサービスの基本姿勢や,規模や館種の異なる様々な実践報告は,参加者にとって今後の参考になったのではないだろうか。

 なお,本フォーラムは,TV会議システムを利用して国立国会図書館関西館に中継されたほか,国立情報学研究所・総合研究大学院大学の大向一輝准教授からの依頼により,フォーラムに直接参加することができない全国の図書館員,研究者,その他,この事業に関心を持つ多くの人にフォーラムの模様を視聴していただけるよう,アカデミック・リソース・ガイド株式会社及び横浜コミュニティデザイン・ラボの協力を得て,インターネットを通じても中継された。また,Twitterのハッシュタグ(#crdf2010)を公開し,インターネット上でも意見交換が行われた。

(関西館図書館協力課・レファレンス協同データベース事務局)

Ref:
http://crd.ndl.go.jp/jp/library/forum_6.html