E116 – 情報技術が学術雑誌出版に及ぼした影響

カレントアウェアネス-E

No.21 2003.09.03

 

 E116

情報技術が学術雑誌出版に及ぼした影響

 

 全米科学財団(NSF)は,6月,新しい情報技術が学術雑誌出版に与えた影響とその意義を,広範な文献レビューに基づいてまとめた報告書『情報技術が学術雑誌出版に及ぼした影響』を発表した。査読された英文の学術論文を主たる対象とし,インターネットの普及が進んだ1994年以降に焦点を当て,382文献を選択しレビューしている。

 科学コミュニケーションの変容とそれが学術雑誌の役割に与える影響,出版プロセスの変化,学術雑誌出版のビジネスモデル,知的財産権,アーカイブ,研究者の情報探索行動の変化,セキュリティ,利用者のプライバシー等の観点から,これまでの研究成果,その到達点,今後の課題等がまとめられている。総じて研究は初期段階にあり,技術革新が著しく事態が流動的であることもあり,一定の傾向や問題点は窺えるものの,明確な結論は得られていないと総括されている。

 NSF科学資源統計課は情報技術が社会や経済に及ぼす影響を分析したデータや研究成果に関する情報を収集しウェブで提供しており,本報告書はその一つとして作成されている。

Ref:
http://www.nsf.gov/sbe/srs/nsf03323/
http://srsweb.nsf.gov/it_site/it/infotech.htm