2022年1月24日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、欧州連合(EU)に対し、デジタル関連法立法において教育・研究に関するデジタル基盤の重要性を積極的に認識するよう求める声明に署名したと発表しました。LIBER、欧州の科学技術大学の団体CESAER、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)の3団体による共同声明です。
共同声明の目的について、声明中では「デジタル規制の立案に際し、研究・教育部門を営利部門と同じように扱うべきではないことを政策立案者に伝え、強調することにある」と述べられています。EUではデジタルサービス法案(DSA)などデジタル関連法立法の動きが進んでいますが、主に営利部門を主眼に置いており、教育・研究部門への十分な配慮がなされていないために、本来文脈や役割が異なる教育・研究部門まで規制の対象範囲内に含まれてしまうと指摘しています。
その上で、短期的にはこのような状況に対処するため迅速な行動が求められるとしつつ、長期的には、EUが教育・研究部門と知識基盤の役割とを明確に理解し、その文脈を反映した法的枠組みを確立することが重要であると述べています。
LIBERによる発表では、現在成立に向けて進んでいるDSAにおいて、規制対象となるオンラインプラットフォームの範囲から教育・科学的リポジトリを除外する規定が設けられていない点を懸念していること等にも言及されています。
Press Release — LIBER Signs Public Statement on Digital Services Act(LIBER, 2022/1/24)
https://libereurope.eu/article/press-release-liber-signs-public-statement-on-digital-services-act/
Scientific knowledge must be protected to ensure a Europe fit for the digital age(CESAER, 2022/1/24)
https://www.cesaer.org/news/scientific-knowledge-must-be-protected-to-ensure-a-europe-fit-for-the-digital-age-1081/
Scientific knowledge must be protected to ensure a Europe fit for the digital age(COAR, 2022/1/24)
https://www.coar-repositories.org/news-updates/scientific-knowledge-must-be-protected-to-ensure-a-europe-fit-for-the-digital-age/
Scientific knowledge must be protected to ensure a Europe fit for the digital age [PDF:2ページ]
https://www.cesaer.org/content/5-operations/2022/20220124-joint-statement-scientific-knowledge-must-be-protected-to-ensure-a-europe-fit-for-the-digital-age.pdf
※共同声明の本文です。
参考:
国際図書館連盟(IFLA)、欧州の「デジタルサービス法」への意見を提出
Posted 2020年9月15日
https://current.ndl.go.jp/node/42000
欧州研究図書館協会(LIBER)、改正EU著作権指令で認められた研究目的のテキスト・データ・マイニング(TDM)が出版社の技術的保護手段により阻害される懸念を指摘
Posted 2020年3月13日
https://current.ndl.go.jp/node/40487