ORCIDについて観察された5つの誤用パターン(文献紹介)

2021年12月31日付けで、“Data Science Journal”誌第20巻に、イタリア国立研究議会情報科学技術研究所(ISTI-CNR)のバリオーニ(Miriam Baglioni)氏ら4人による共著論文“We Can Make a Better Use of ORCID: Five Observed Misapplications”が掲載されています。

論文では、OpenAIRE Research Graphのデータを分析することで、ORCIDのユーザーがレジストリを操作したり、他のデータソースからORCID参照を指定したりする際に起こる5つのORCIDの誤用について特定しています。また、それらの誤用へのORCIDの対応についても述べています。

挙げられている5つの誤用は以下の通りです。
・偽のORCIDレコードが存在する
・同一著者に複数のORCIDレコードが存在する
・一つのORCIDレコードへ複数著者の成果が帰属されている
・研究成果が存在しないORCID iDへ帰属している
・研究成果が誤ったORCID iDへ帰属している

今後、これらの誤用について定量的分析を行い、誤用にフラグを立てて、国際的な研究記録の質と正確さに貢献する方法を提供すると述べています。

Baglioni, M.; Manghi, P.; Mannocci, A.;Bardi, A. We Can Make a Better Use of ORCID: Five Observed Misapplications. Data Science Journal. 2021, 20(1), 12p. http://doi.org/10.5334/dsj-2021-038

参考:
ORCIDとカーネギー分類を情報源とする米国の高等教育機関の教員の所属変更傾向の分析(文献紹介)
Posted 2020年9月24日
https://current.ndl.go.jp/node/42065

E2261 – ORCIDへの期待とコンソーシアム
カレントアウェアネス-E No.391 2020.05.28
https://current.ndl.go.jp/e2261