学術図書館における映像コンテンツへのControlled Digital Lendingの導入(文献紹介)

図書館、博物館などにおける著作権等に関するオープンアクセス(OA)の査読誌Journal of Copyright in Education and Librarianshipの第5巻第1号に、米・ケネソー州立大学図書館のChristian Lear氏による論文”Controlled Digital Lending of Video Resources: Ensuring the Provision of Streaming Access to Videos for Pedagogical Purposes in Academic Libraries”が2022年1月4日付けで掲載されています。

論文では、ドキュメンタリー映画、長編映画等の映像コンテンツのストリーミングアクセスを提供するにあたっての学術図書館の課題について考察しています。論文の目的として、メディア・ライブラリアン(論文中では学術図書館において映像コンテンツの取得と配信を扱う業務を行う図書館員または図書館職員と定義されています)が、教育支援のために図書館利用者に特定の映像コンテンツを提供できるようにするための道筋を提案することを挙げ、図書館リソースのControlled Digital Lending(CDL)という比較的新しい概念と、教員が教育目的で使用する映像コンテンツへのCDL適用の可能性について論じています。

DVD等の映像コンテンツをデジタルファイル化してCDLを導入するには法的・技術的な障壁があるものの、こうした課題は回避するのではなく、立ち向かうべきものであるとしています。障壁を克服するために利用できる長期的および短期的な解決策があり、そうすることによってメディア・ライブラリアンは、図書館がサービスを提供するコミュニティにとって価値あるものとなるような実践に従事することができるようになると結んでいます。

Lear, Christian. Controlled Digital Lending of Video Resources: Ensuring the Provision of Streaming Access to Videos for Pedagogical Purposes in Academic Libraries. Journal of Copyright in Education and Librarianship, 2022, 5(1), 1-19.
https://www.jcel-pub.org/article/view/14807/14653

参考:
米・Ithaka S+R、北米の学術図書館におけるストリーミングメディアへの対応に関する大規模調査を開始
Posted 2021年10月25日
https://current.ndl.go.jp/node/45046

米国大学・研究図書館協会(ACRL)の出版部門、大学図書館におけるストリーミングサービスの導入に関するホワイトペーパーを公開
Posted 2021年7月9日
https://current.ndl.go.jp/node/44395

米国南東部研究図書館協会(ASERL)、デジタル資料の“Controlled Digital Lending”導入を検討する図書館向けに法的・技術的な考慮事項等を解説したガイドを公開
Posted 2021年3月1日
https://current.ndl.go.jp/node/43395