2021年6月16日、国際図書館連盟(IFLA)は、図書館が蔵書をデジタル化し、電子的な複製物を「1部1ユーザー」の制限のもと貸し出す“Controlled Digital Lending(CDL)”に関する声明を発表しました。
発表の中では、CDLはコロナ禍およびポストコロナにおいて、蔵書へのアクセスを提供する自由を図書館に与えるものであり、IFLAはCDLを支持すると述べられています。同声明は、2021年5月にIFLAの運営理事会(Governing Board)において承認されたものであり、それぞれの国や地域における政策を考慮する必要があるとしつつ、CDLの概要、CDLに関する経済的・法的根拠等を示しています。
経済的根拠について、市場はデジタル資料へのアクセスを一貫して公正な形では提供できないこと等を挙げています。法的根拠については、収集・貸出の自由は図書館機能の核となる、デジタル資料の利用は少なくとも紙媒体の資料と同程度の柔軟性を持つべきである、複数の例外規定や権利制限を同時に適用することは許容できるものであるといった3点が、原則として挙げられています。
IFLA releases a statement on Controlled Digital Lending(IFLA, 2021/6/16)
https://www.ifla.org/node/93955
IFLA Statement on Controlled Digital Lending(IFLA)
https://www.ifla.org/publications/node/93954
参考:
米国南東部研究図書館協会(ASERL)、デジタル資料の“Controlled Digital Lending”導入を検討する図書館向けに法的・技術的な考慮事項等を解説したガイドを公開
Posted 2021年3月1日
https://current.ndl.go.jp/node/43395
Internet Archive(IA)、大手出版社4社の著作権侵害訴訟に対する答弁書を提出:“Controlled Digital Lending(CDL)”による電子書籍貸出の適法性を主張
Posted 2020年8月3日
https://current.ndl.go.jp/node/41641
CA1978 – 動向レビュー:米国での電子書籍貸出をめぐる議論 / 井上靖代
カレントアウェアネス No.344 2020年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1978
CA1979 – 動向レビュー:欧州の図書館と電子書籍-従来の公共図書館よ、安らかに眠れ? / ベンジャミン・ワイト,井上靖代(翻訳)
カレントアウェアネス No.344 2020年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1979